野球にはピッチャーの特定の行為を禁止するボークというルールがあるため、ピッチャーを務める人は必ず頭に入れておかなければなりません。
どのような行為がボークに該当するのか、全13種類のボークを解説していますので参考にしてみてください。
野球におけるボークとは?
ボークとは、ピッチャーの投球時や牽制時、送球時の動作などに対する反則行為のことで、ピッチャーがバッターやランナーを騙したり、惑わしたりして攻撃側が不利益を受けるのを禁止するためのルールです。

ボークには「ためらう」「妨げる」「急に止まる」と言った意味があります。

英語のbalkからきているんですね!
ボークが宣告された際の処理
ピッチャーに反則行為があったと判断された場合、審判がボークを宣告しますが、ランナーの有無で処理が変わってくるため、ここでは野球でボークが宣告された際の処理をケース別に見ていくことにしましょう。
ランナーがいるケースでのボーク
●審判がボールデッドにできるケース
ピッチャーの投球は無効となり、塁上のすべてのランナーが先の塁へひとつ進塁できる、安全進塁権が与えられるため、3塁ランナーがいた場合は得点が入ります。
●ボークが宣告されたピッチャーの投球や牽制球が暴投や悪送球になったケース
ボールデッドにはならず、ランナーはボークで与えられた塁からさらに進塁することが可能で、その時点でボークとは関係なくプレーが継続します。
●ボークが宣告されたピッチャーの投球をバッターが打ったケース
ヒットやエラーなどでバッターが出塁し、塁上のすべてのランナーが最低でもひとつ進塁した場合に限り、ボークはなかったものとみなしてそのプレーが優先されます。
ただし、バッターが打った後にバッターを含むすべてのランナーが1人でも進塁できなかった場合は遡ってボークが宣告され、打球の結果でアウトになっていても取り消しとなります。

ボールデッドって何ですか?

試合が止まってプレーができない状態です。
ボークは例外ですが、本来はランナーは進塁することができず、野手はランナーにタッチをしてアウトにすることができません。

そういう意味だったんですね!
ランナーがいないケースでのボーク
●審判がボールデッドにできるケース
ボールカウントのボールがひとつ増えて、ボール球を1回投げた扱いになります。
●ボークが宣告されたピッチャーの投球をバッターが打ったケース
ヒットやエラーなどでバッターが出塁した場合に限り、ボークはなかったものとみなしてそのプレーが優先されます。
バッターがアウトになった場合は遡ってボークが宣告され、そのプレーは取り消しとなります。
ボークの種類と適用される条件
野球の試合でボークが宣告されると、ランナーに進塁されて相手チームに有利な状況を与えてしまうことになるため、ピッチャーを務める場合はボークに関するルールを必ず頭に入れて把握しておかなければなりません。
ボークは全部で13種類あるため、ここでは13種類のボークが適用される条件を、項目ごとに分けて具体的に解説していきます。
ピッチャープレート(投手板)に関するボーク
ピッチャーはマウンドと呼ばれる山の中央から投球しますが、そこに設置してある白い板をピッチャープレート(投手板)と言います。
野球でボークを宣告されることのないように、まずはこのピッチャープレートに関するルールを具体的に見ていくことにしましょう。
①ボールを持たずにピッチャープレートに立つ
ボールを持っていない状態でピッチャープレートに触れる、または跨ぐのはボークを宣告される反則行為で、隠し玉を行う場合は注意が必要になります。

隠し玉って何ですか?

ランナーに気づかれないように野手がボールを隠し持ち、ランナーが塁から離れた際にタッチをしてアウトにする戦術です。

そんな戦術があるんですね!

隠し玉を行う場合、ピッチャーはボールを持っていないため、ピッチャープレート付近に立ち、触れたり跨いだりしないようにしなければなりません。
②ピッチャープレートに触れずに投球や投球動作を行う
野球は、最初にピッチャーの投球からプレーがスタートするため、ピッチャーの投球動作はバッターに向かってボールを投げることを意味しています。
隠し玉の戦術はルール上問題ありませんが、ボールを持っていないピッチャーがピッチャープレートに立たずにボークを回避しつつ、バッターに投げるふりをすると相手チームは確実に騙されてしまいます。
この行為ができてしまうと隠し玉を見抜く手段がなくなるため、それを禁止する目的でピッチャープレートに触れずに投球や投球動作を行うとボークが宣告されるようになっています。
③投球の体勢後にボールから手を離す
ピッチャープレートに立ち投球する体勢を作った後は、バッターに向かって投げる、または牽制球を投げなければならないため、それ以外でボールから手を離すとボークが宣告されます。
投球動作中に手からボールが飛び出してしまった場合、ランナーがいるケースではその時点でボークとなりますが、ランナーがいないケースでは、ボールがファウルラインを超えた時点でボークとなり、ファウルラインを越えなければボークにはならず、ノーカウントで投球していないものとして扱われます。

ボールを持ち替えたいケースなど、ボールから手を離す場合はピッチャープレートから軸足を外す必要があります。
④ボールを落とす
偶然なのか故意なのかに関係なく、ピッチャープレートに触れた状態でボールを落とすとボークが宣告されます。
マウンド上でキャッチャーのサインを見る際など、ボールを手に持ってピッチャープレートに立つ場合は気をつけるようにしましょう。
投球動作に関するボーク
ピッチャーの投球動作に関しても反則行為があり、ルールの設定が細かくなっているため、ボークが宣告されないように注意しなければなりません。
そのため、ここではどのような投球動作がボークに該当するのか、ルールを具体的に解説していきます。
⑤バッターと正対する前に投球する
野球ではバッターとピッチャー、お互いが構えた状態でプレーを開始するのがルールとなっているため、バッターが構えの体勢になる前に投球するとボークが宣告されます。
バッターがピッチャーを見ていない状況で投球すると危険なため、この行為はクイックピッチと呼ばれています。
⑥セットポジションで静止せずに投球する
セットポジションとは、身体を横に向けて軸足をピッチャープレートに置き、グラブを胸の高さや腰に置いて構え、その体勢から投球動作に移行する投球フォームで、野球で主にランナーがいるケースで使う投げ方です。
セットポジションの体勢で、完全に静止せずに投球動作に移行するとボークが宣告されますが、静止時間に関する明確なルールが定められてないため、静止していたかどうかは審判の判断に委ねられています。
⑦投球動作を中断する
ピッチャープレートに立って動くと投球動作に移行したとみなされ、必ずボールを投げなければならないため、途中で投球動作を中断するとボークが宣告されます。
キャッチャーのサインを見ている途中に手などを動かす行為も、投球またはセットポジションへの動作とみなされてボークの対象となります。
また、サインを見た後も中断することなく一連の流れで投球動作に移行するか、セットポジションの体勢にならなければ、ボークを宣告されるため注意が必要です。

投球動作と関係のない動きをしたい場合は、ピッチャープレートから軸足を外すようにしましょう。
⑧不必要な遅延行為をする
投球する体勢を作らずに、長い時間ボールを持ったまま立ち続けている、明らかにリードの小さいランナーのいる塁へ何度も牽制球を投げるなど、野球の試合を意図的に遅延させるとボークが宣告されます。
メジャーリーグでは試合時間を短縮する目的で、ピッチャーはボールを受け取ってから、ランナーがいない場合は15秒以内、ランナーがいる場合は18秒以内に投球動作に移行しないと、ボールカウントのボールがひとつ増える、ピッチクロックというルールを導入しています。

バッターは制限時間の8秒前までに打席内で構えの体勢を作らないと、ボールカウントのストライクがひとつ増えるルールになっています。
⑨反則投球に該当する行為を行う
反則投球とは、野球規則で禁止されているピッチャーの動作で、以下のような行為がボークに該当します。
●ピッチャープレートを含むマウンド上で、投球する手を口または唇につけた後にボールに触れる
ボールまたはピッチャープレートに触れる前に、投球する手をきれいに拭く必要があります。
●ボールをグラブや身体などで摩擦する
素手でボールを摩擦することはルール上問題なく、ボークにはなりません。
●異物を所持したりボールや手、身体につける
手や指に絆創膏を貼ったり、手首にリストバンドやアクセサリーをつけるのも、ボークが宣告される可能性があります。
●ボールや投球する手、またはグラブに唾液をつける
●意図的にボールに傷をつける
⑩キャッチャーボックス外にいるキャッチャーに投球する
キャッチャーボックスとは、バッターボックスの後ろのエリアのことで、キャッチャーはそのエリア内でピッチャーの投球を受けます。
現在は申告制度があるためあまり見かけませんが、敬遠と呼ばれる故意四球などをする際に、キャッチャーボックスにキャッチャーの両足が入っていない状態で投球するとボークが宣告されるため、キャッチャーは投球後にキャッチャーボックスから離れなければなりません。
牽制時の動作に関するボーク
牽制球とは、野球でピッチャーがバッターに投球する前に各塁へボールを投げる行為で、複雑な動きをしなければならないため、ボークが宣告されるケースも少なくありません。
では、どのような牽制時の動作がボークに該当するのか、具体的に見ていくことにしましょう。
⑪牽制球を投げる塁の方向に足を踏み出さない
軸足ではない方の足を本塁の方向へ踏み出しバッターに投げるふりをして、その体勢から牽制球を投げるとランナーが騙されてしまうため、それを禁止する目的で牽制時には牽制球を投げる塁の方向に足を踏み出していないとボークが宣告されるルールになっています。
ただし、ピッチャープレートから軸足を外した場合は、塁の方向に足を踏み出さずに牽制球を投げてもボークにはなりません。
⑫一塁または三塁へ偽投する
偽投とは投げるふりをすることで、牽制時にピッチャープレートに触れた状態で一塁、または三塁へ偽投するとボークが宣告されます。
以前は三塁への偽投はボークにはならなかったため、野球でランナー1,3塁のケースでピッチャーがホームへ投げたと勘違いして、飛び出した1塁ランナーをアウトにすることを狙う目的で、三塁への牽制で偽投した後、すぐに身体を一塁方向に回転させて一塁に牽制球を投げる、という行為が行われていました。
しかし、騙されるランナーもほとんどいなくなったため、試合時間を短縮する目的もあり、野球規則のルール改正で三塁への牽制時の偽投もボークとなるように変更されました。

ピッチャープレートから軸足を外した場合の偽投と、二塁への牽制時の偽投はボークにはなりません。
⑬ランナーのいない塁へ送球または偽投する
ピッチャープレートに触れた状態で、ランナーのいない塁へ送球したり偽投するとボークが宣告されます。
ただし、ランナーが飛び出したり盗塁を試みたりしたケースでは、進塁する塁の方向へ足を踏み出して送球する、またはピッチャープレートから軸足を外した場合はボークにはなりません。

牽制球に関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
ピッチャーのボーク以外の反則行為とルール
反則行為はインターフェアとも言いますが、野球ではピッチャーのボーク以外にもインターフェアがあり、反則行為ごとにルールが定められています。

他にも反則行為があるんですね!

そのため、ここではピッチャーのボーク以外の反則行為を解説していきます。
キャッチャーのボーク
キャッチャーがピッチャーの投球を受ける際、以下の状況が発生すると、ピッチャーのボークの宣告時と同じ処理が行われます。
■ボールがキャッチャーの防具に挟まった場合
■マスクや帽子でボールに故意に触れた場合

ピッチャーの投げたボールは、手かキャッチャーミットで捕球しなければなりません。
危険球
危険球とは、ピッチャーが故意にバッターを狙って投球する行為で、審判が危険球と判断した場合、以下のいずれかの処理が行われます。
■ピッチャーの退場
■ピッチャーと監督の退場
■同様の行為を再度行った場合は退場処分にする旨の警告
また、ピッチャーが故意ではない投球がバッターの顔や頭部付近、ヘルメットに当たったケースでも、審判が危険球と判断した場合は上記の処理の対象となります。
打撃妨害
打撃妨害とは、野球で守備側の野手がバッターのバッティングを妨害する行為で、以下のようなケースがインターフェアに該当します。
■キャッチャーのミットを含めた防具がバットに触れた場合
■キャッチャーがボールを持たずに本塁上、または本塁前に出た場合
■ピッチャーの投球をキャッチャー、野手がバッターが打つ前に本塁上、または本塁前で捕球した場合
打撃妨害が宣告されると、バッターは無条件で一塁に進塁することができますが、その投球を打ってヒットやエラーなどで出塁し、塁上のすべてのランナーが最低でもひとつ進塁した場合は、打撃妨害にはならずにプレーの方が優先されます。
守備妨害
守備妨害とは、野球で攻撃側が守備をしている野手を妨害する行為で、以下のようなケースがインターフェアに該当します。
■塁上のランナーが守備をする野手の動きを遮ったり、阻んだりして邪魔をした場合
■バッターが本塁上のプレーやキャッチャーの守備や送球を妨げた場合
守備妨害が宣告されるとバッターは即時アウトとなり、塁上のランナーは守備妨害が発生する前にいた塁へ戻されます。
走塁妨害
走塁妨害とは、野球で守備側の野手がランナーの走塁を妨害する行為でオブストラクションとも言われ、以下のようなケースが該当します。
■ランナーの走路上に打球の処理とは無関係の野手が立っていた場合
■打球に対してダイビングキャッチを試みたが捕球できず、すぐに立つことなく横たわったままランナーの走塁の邪魔をした場合
走塁妨害が宣告されると、ランナーに妨害がなければ到達が可能だった塁まで進塁が許されますが、野手が打球の処理や送球をしていた場合は守備の方が優先されるため、走塁妨害にはなりません。
ボークを宣告されないようにルールを把握しておこう
野球の試合中にエラーやミスは必ず起こりますが、ボークはエラーのような技術的なものではなく、ピッチャーがルールを把握しておくだけで防ぐことができます。
ボークが宣告されると、ランナーに安全進塁権を与えるだけではなく、試合の流れを変えてしまうことになりかねないため、ここまで解説してきたボークが適用される条件を参考にしてマウンドに上がるようにしましょう。
















