野球で守備についている9人の野手は、ポジションごとに名前と役割が決まっています。
聞いても把握できるように、それぞれの守備位置と名前に加え、各ポジションの基本となる役割や適正について詳しく解説していますので参考にしてみてください。
野球の守備位置と各ポジションの名前
野球で守備についた際、塁上にランナーがいるケースなど、状況によって守備の配置を変えることがありますが、定位置と呼ばれる基本となる守備位置は上の図のようになります。
9人の野手の各ポジションの名前は、図に表記されているカタカナか、括弧内の漢字で呼ぶのが一般的です。
各ポジションの漢字の名前の読み方は以下になります。
投手(とうしゅ)、捕手(ほしゅ)、一塁手(いちるいしゅ)、二塁手(にるいしゅ)、三塁手(さんるいしゅ)、遊撃手(ゆうげきしゅ)、左翼手(さよくしゅ)、中堅手(ちゅうけんしゅ)、右翼手(うよくしゅ)
なぜショートは遊撃手という名前なんですか?
アメリカ発祥のベースボールを「野球」と和訳した、中馬庚(ちゅうまかなえ)氏が「あちこちを動き回って守備を固める遊軍のようだ」と軍隊に見立て、遊撃手になったと言われています。
そうなんですね!野球の歴史は深い!
野球における守備時の各ポジションと番号の関連性
野球場のスコアボードに選手名の横に順番通りになっていない、バラバラの数字が表示されていますね…。
その数字は、選手の守備位置を示す番号で守備番号と呼ばれており、各ポジションで番号が決まっているため、番号を見るだけでどこの守備位置なのか判断できるようになっているんです。
そうだったんですね!
守備番号があることで、スコアボードに守備位置の名前ではなく番号を表示するだけで簡略化でき、野球の記録をつける際も番号を記載するだけで済むんです。
なるほど!そういうメリットがあるんですね!
そうなんです。
ここでは、各ポジションの守備番号はどのように決まっているのか、見ていくことにしましょう。
野球における各ポジションの守備番号
野球における9人の野手の各ポジションの守備番号は、上の図のように割り当てられています。
この図を見ると、サードとショートの守備番号は逆ではないんですか?
野球が誕生した当初、ファースト、セカンド、サードはベース付近が守備位置で、ベースの順番通りに守備番号がつけられ、ショートはピッチャー周辺が守備位置だったため、最後に番号がつけられたんですね。
そういうことだったんですね!
その後、セカンドはファースト寄りのポジションになったため、ショートが二塁ベースと三塁ベースの間に移動して、現在の上の図のような配置になっています。
野球の守備番号と背番号の関係性
プロ野球やメジャーリーグでは、思い入れのある数字を背番号にしたり、空きのある番号から好きな数字を背番号として選ぶなど、背番号の決め方には様々な方法がありますが、中学野球や高校野球では守備番号をそのまま背番号として使用しているため、背番号を見ればどこのポジションを守っているのかがわかるようになっています。
少年野球と大学野球は、基本的には自由に背番号を決めることができますが、キャプテンのみ背番号が決まっており、少年野球では「10」を、大学野球では「1」か「10」をつけます。
野球における各ポジションの役割と必要なスキル
野球の守備には、各ポジションごとに役割が決まっているため、役割を果たすことが可能なポジションにつくことで、高い守備力を発揮できるようになります。
このため、ここでは自分が野球で守備をする際に、どこのポジションが向いているのか見つけることができるように、各ポジションごとに特徴や役割、必要なスキルと適正を解説していきます。
野球のポジション➀ピッチャー(投手)
マウンドと呼ばれる山の中央に、プレートと呼ばれる白い板が設置してあり、そのプレートの位置からキャッチャーに向かってボールを投げるポジションで、スキルが高く一番信頼できるピッチャーはエースと呼ばれています。
野球では、ピッチャーの良し悪しで試合展開が大きく変わるため、特に重要なポジションです。
野球を知らなくてもピッチャーはわかる、という人も多いですね!
ピッチャー(投手)の役割
ピッチャーの役割は、最初に投げる先発、最後に投げる抑え(クローザー)、先発と抑えの間に投げる中継ぎ(リリーフ)の3種類のポジションが基本で、勝っている試合で抑えのピッチャーの前に投げる中継ぎのピッチャーのことをセットアッパーと言います。
どのポジションでも同じで、バッターをアウトにするために、ストレートと変化球を使い分けてボールを投げます。
ピッチャー(投手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でピッチャーのポジションを担う適正があります。
■速いボールを投げることができる
■変化球を投げる器用さがある
■コントロールの精度が高い
■メンタルが強い
フォアボールは失点をするリスクが高まり、守備をしている野手のリズムも悪くなってしまうため、特にコントロールの精度は重要です。
野球のポジション②キャッチャー(捕手)
キャッチャーは9人の野手の中で唯一、守備時にグラウンドの外側の位置にいるポジションで、ピッチャーの投げるボールに対応するため、キャッチャー専用のミットを使用して身体には防具を身につけています。
キャッチャー…。
地味で目立たないイメージを持っているかもしれませんが、ピッチャーと同様に重要なポジションなんです。
そうなんですか…?
キャッチャー(捕手)の役割
漢字でも捕手となっているように、ピッチャーのボールを受けることがキャッチャーの役割の基本ですが、それ以外にもバッターをアウトにするために配球を組み立て、ピッチャーにサインを出して要求するポジションです。
また、グラウンドの外側の位置から全体を見ることができ、状況を判断して守備についている野手に指示を出すのも重要な役割になっているため、野球でキャッチャーは扇の要と言われています。
扇の要…?
キャッチャーを中心にグラウンドは扇形のようになっており、キャッチャーが扇の要の位置で重要だという意味で呼ばれています。
扇子からきてるんですね!
キャッチャーが大事なポジションなのがわかりました!
キャッチャー(捕手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でキャッチャーのポジションを担う適正があります。
■ピッチャーの投げる様々なボールを捕球できる
■瞬時に状況判断ができる
■グラウンドの変化に気づく洞察力がある
■肩が強い
ピッチャーが安心して腕を強く振ってボールを投げることができるため、特にワンバウンドしてしまうようなボールを、ミットや身体で止めることができる人はキャッチャーに向いています。
野球のポジション③ファースト(一塁手)
一塁ベースの後ろが定位置で、送球を捕りやすくするために、専用のミットを使用して守備をするのがファーストのポジションになります。
野球では、ファースト、セカンド、サード、ショートの守備についている野手のことをまとめて内野手と言いますが、身体の向きを変えずにボールを投げることができるため、ファーストは内野手の中で唯一、左投げの方がメリットがあるのが特徴です。
ファースト(一塁手)の役割
バッターが打ったゴロを処理した内野手からの送球を捕球して、一塁ベースを踏んでアウトにすることがファーストの役割の基本ですが、バントなど自ら打球を処理してピッチャーやセカンド、サードに送球するケースもあります。
また、ライトに打球が飛んだ場合は、ライトからの送球を受ける位置に動き、サードやホームに送球する役割も担っています。
ファースト(一塁手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でファーストのポジションを担う適正があります。
■内野手からの様々な送球を捕球できる
■身体を伸ばすことができる柔軟性がある
■身長が高い
特に内野手からのショートバウンドしてしまうような送球を、しっかり捕球できる人はファーストに向いています。
ファーストの守備は送球を捕球することに特化しているため、ゴロやフライを捕るのが苦手な人でも、送球を捕球できるスキルがあれば、ある程度は対応できるポジションです。
野球のポジション④セカンド(二塁手)
セカンドは一塁ベースと二塁ベースの中間の位置から少し後方が守備の定位置で、バッターのタイプによって守備位置を変える、ランナーがいるケースではランナーの動きを確認しながらピッチャーからの牽制球に備える、などバッターが打っていない状況でも常に動き回っているのが特徴です。
その状態でバッターが打つと、さらに打球に対応した動きが必要になるため、内野手の中では運動量が多いのがセカンドのポジションになります。
セカンド(二塁手)の役割
セカンドの守備の役割は、ファーストの後方からセンターの手前までの打球を処理することが基本で、広い守備範囲への対応に加え、バントのケースでは一塁ベースへ動き送球を受け、ダブルプレー時やランナーの盗塁時には、二塁ベースへ動き捕球や送球を行います。
また、打球がライト、あるいはセンターに飛んだ場合は、送球を受ける位置に動き各塁に送球する役割も担っています。
セカンド(二塁手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でセカンドのポジションを担う適正があります。
■打球にすぐに反応できる
■瞬時に状況判断ができる
■様々な状況を想定して対応に備えることができる
■足が速い
特に様々な状況に対して素早く対応できる人はセカンドに向いています。
セカンドは内野手の中でファーストまでの距離が一番近いため、素早い動きができれば肩が強くなくてもこなせるポジションです。
野球のポジション⑤サード(三塁手)
三塁ベースの後ろが守備の定位置でバッターに近いため、強い打球がくる確率が高いのがサードのポジションで、ホットコーナーと呼ばれています。
また、逆に前進して処理するような弱い打球がくるのも特徴で、強い打球と弱い打球、両方の打球の対応が求められます。
なぜホットコーナーと言うんですか?
痛烈な強い打球を処理する守備機会が多く、恐れずに身体で捕るくらいの気持ちが必要なポジションだからなんです。
熱い場所で熱いプレーをするのがサードなんですね!
サード(三塁手)の役割
ショートがいるため守備範囲はそれほど広くなく、定位置の周辺の打球を処理することが役割の基本ですが、ファーストまでの距離が遠いため、素早い送球が必要になります。
バントのケースでは、前進して素早くファーストやセカンドに送球し、ランナーの盗塁時には三塁ベースへ動き送球を受けます。
また、打球がレフトに飛んだ場合は、送球を受ける位置に動きホームを含めた各塁に送球する役割も担っています。
サード(三塁手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でサードのポジションを担う適正があります。
■強い打球に対応できる
■左右の打球に素早く反応できる
■送球のコントロールが安定している
■肩が強い
特に痛烈な強い打球に対して、恐れずに身体の正面で捕球する体勢を作り、身体で止めるくらいの覚悟がある人はサードに向いています。
身体の正面で捕球する体勢を作ると、打球を捕球できなくても身体に当たり、落ちたボールを拾ってアウトにできる確率が上がるため、ピッチャーにとっては頼もしい存在になります。
野球のポジション⑥ショート(遊撃手)
ショートは二塁ベースと三塁ベースの中間から少し後方が守備の定位置で、内野手の中ではセカンドと同様に運動量の多いポジションで、守備の華と呼ばれています。
バッターのタイプによって守備位置を変える、ランナーがいるケースではランナーの動きを確認する、などピッチャーが投げるたびに動き回っているのが特徴で、セカンドよりも打球を処置する守備機会が多いため、負担が大きいのがショートのポジションです。
守備の華…?
守備範囲が広く守備機会も多い、他の野手との連携プレーの中核を担う、など求められることが多岐にわたるからなんです。
守備が上手くて万能な人がするポジションだからなんですね!
ショート(遊撃手)の役割
ショートの守備の役割は、サードの後方からセンターの手前までの打球を処理することが基本で、広い守備範囲の対応だけではなく、サードと同様にファーストまでの距離が遠いため、素早い送球もしなげればなりません。
他にも、ピッチャーとサードがエラーした場合に備えカバーする役割に加え、バントのケースやダブルプレー時、ランナーの盗塁時には、二塁ベースへ動き捕球や送球を行います。
また、打球がレフト、あるいはセンターに飛んだ場合は、送球を受ける位置に動き各塁に送球する役割も担っています。
ショート(遊撃手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でショートのポジションを担う適正があります。
■打球にすぐに反応できる
■堅実な守備力がある
■瞬時に状況判断ができる
■様々な状況を想定して対応に備えることができる
■肩が強い
■足が速い
サードと同様にショートも打球を処理する守備機会が多いですが、ショートは前後左右に大きく動いて打球を処理する必要がある点が、サードとの違いになります。
野球のポジション⑦レフト(左翼手)
ショートの後方が守備の定位置なのがレフトのポジションで、野球ではレフト、センター、ライトの守備についている野手のことをまとめて外野手と言いますが、左バッターよりも右バッターの方が多いため、外野手の中では打球を処理する守備機会が多く、強い打球がくる確率も高いのが特徴です。
打球を処理する守備機会は多いですが、外野手の中では複雑な動きを求められるケースが比較的少ないのがレフトのポジションになります。
レフト(左翼手)の役割
サードとショートの後方からレフトの外野フェンスまでの打球を処理することが役割の基本で、処理した打球は中継の位置に入ったサード、またはショートに送球するか、距離が短い場合は二塁や三塁、あるいはホームへダイレクトに送球します。
また、ピッチャーの牽制時、あるいはランナーの盗塁時には、悪送球になるケースに備えて三塁ベースをカバーする役割も担っています。
レフト(左翼手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でレフトのポジションを担う適正があります。
■フライの距離感をつかめる
■強い打球を処理できる守備力がある
■足が速い
レフトは強い打球がくる確率が高いポジションのため、速いゴロを後逸しないように、しっかりとボールを止めることができる人はレフトに向いています。
外野手の中ではボールを投げる距離が短いケースが多いため、肩がそれほど強くなくても対応できるのがレフトのポジションです。
後逸って何ですか?
捕球できずにボールを後ろにそらしてしまうことを後逸(こういつ)と言います。
そういう意味なんですね!
外野手の後ろには誰もいないため、後逸すると大変なことになります。
野球のポジション⑧センター(中堅手)
センターはセカンドとショートの後方、レフトとライトの間が守備の定位置で、レフトとライトはセンター方向だけを意識すれば対応できますが、センターはレフト方向とライト方向、左右どちらも意識して対応する必要があり、外野手の中で守備範囲が一番広いポジションです。
バッターのタイプによって守備位置を変えるなど、状況によって様々な対応が求められるため、運動量が多いのがセンターの特徴になります。
センター(中堅手)の役割
センターの守備の役割は、セカンドとショートの後方とセンターの後方に加え、レフト方向とライト方向の外野フェンスまでの打球を処理することが基本で、広い守備範囲で送球する距離が遠いケースも多いため、打球を素早く処理して送球しなければなりません。
また、レフトとライトが打球を後逸するケースに備えてカバーする、ピッチャーの牽制時、あるいはランナーの盗塁時には、悪送球になるケースに備えて二塁ベースをカバーする役割も担っています。
センター(中堅手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でセンターのポジションを担う適正があります。
■フライの距離感をつかめる
■打球にすぐに反応できる
■瞬時に状況判断ができる
■様々な状況に対応した打球の処理ができる
■肩が強い
■足が速い
広い守備範囲に対応するには、瞬時に打球の行方を判断し、無駄な動きをせずに打球を追って処理する必要があるため、特に身体能力が高く運動神経の良い人はセンターに向いています。
センターは守備力を含め、全てにおいて高いスキルが求められるポジションです。
野球のポジション⑨ライト(右翼手)
セカンドの後方が守備の定位置なのがライトのポジションで、レフトやセンターと比較すると打球を処理する守備機会が少ない反面、三塁ベースまでの距離が外野手の中で一番遠いため、ランナーがいるケースではランナーを三塁まで進塁させる目的で、バッターが意図的にライト方向に打ってくる確率が高くなります。
守備機会は少ないですが、重要な局面で打球を処理するケースが多いのが、ライトのポジションの特徴です。
ライト(右翼手)の役割
ファーストとセカンドの後方からライトの外野フェンスまでの打球を処理することが役割の基本で、処理した打球は中継の位置に入ったファースト、またはセカンドに送球するか、距離が短い場合は二塁や三塁、あるいはホームへダイレクトに送球します。
センターと同様に送球する距離が遠い位置で打球を処理することが多いため、素早い対応が求められます。
また、内野手がゴロを処理した際のファーストへの送球時には、悪送球になるケースに備えて一塁ベースをカバーする役割も担っています。
ライト(右翼手)に求められるスキル
以下の要素を満たすことができれば、野球でライトのポジションを担う適正があります。
■フライの距離感をつかめる
■打球にすぐに反応できる
■瞬時に状況判断ができる
■送球のコントロールの精度が高い
■安定した守備力がある
■肩が強い
■足が速い
ランナーを進塁させるライト方向への打球を処理し、そのランナーを三塁、またはホームでアウトにすることが求められるため、特に肩が強く送球が正確で安定している人はライトに向いています。
守備の負担を軽くするために各ポジションの役割を把握しよう
ここまで、野球の守備における各ポジションの特徴と基本となる役割、求められるスキルを解説してきましが、自分に向いている適正があるポジションを見つけることができたでしょうか。
実際に野球をした際に、守備についている周りの野手の対応が頭に入っていると、自分の無駄な動きを防ぐことができ守備の負担が軽くなるため、各ポジションの役割を把握しておくようにしましょう。