野球でピッチャーが投げるナックルカーブという変化球は、通常のカーブより難易度が高い球種ですが、マスターできれば大きな武器になります。
ナックルカーブのボールの握り方とリリース、そして投げ方のコツを解説していますので参考にしてみてください。
変化球ナックルカーブとは?
野球でピッチャーが投げるナックルカーブとは、ボールをリリースした利き腕とは逆の方向へ、曲がりながら落ちていく変化球のことで、ナックルではなくカーブに近い軌道になります。
ナックルのようなボールの握り方で、リリース時にカーブ回転をかけることからナックルカーブと呼ばれています。
ナックルカーブの特徴とカーブとの違い
ナックルカーブとカーブの違いはボールの握り方だけではないんですか?
確かにナックルカーブはカーブに近い回転と軌道になりますが、ボールの握り方以外にも大きな違いがあるんです。
そうなんですね!
ナックルカーブとカーブの違い知りたいです!
では、ナックルカーブの特徴とカーブとの違いを具体的に解説していきます。
ナックルカーブの特徴➀球速が出る
ナックルカーブもカーブもリリース時にボールを抜いて回転をかけますが、カーブはボールを抜くことで球速が遅くなってしまうのに対し、ナックルカーブはボールを抜く影響が少なくカーブよりも球速が出るのが特徴です。
球速が出ることで、カーブよりもストレートに近い軌道から回転がかかり変化するため、バッターは対応するまでの時間が短くなり、打ちにくい変化球になります。
ナックルカーブの特徴②曲がりと落差が大きい
ナックルのような握り方のナックルカーブは、カーブのようにリリース時にボールを抜いて回転をかけるだけではなく、さらに指でも回転をかけることができるため、より多くの回転がかかり曲がりと落差が大きくなるのも特徴のひとつです。
実際に野球をした際に、体勢を崩されても比較的バットに当てやすいカーブとは異なり、ナックルカーブは予想よりも変化が大きく、バッターは芯でとらえるのが難しくなります。
ナックルカーブの特徴③決め球として使用できる
カーブはバッターのタイミングを外してカウントを稼ぐ球種として使われることが多いですが、ナックルカーブはカウントを稼ぐ手段だけではなく、決め球として使用しても十分に通用するのも大きな特徴になります。
球速がありカーブよりもストレートに近い軌道から大きく曲がりながら落ちていくため、バッターが空振りする確率が高く、野球でピッチャーが決め球として使用することの多いフォークやスプリットのような球種に匹敵する変化球なのです。
野球でナックルカーブを投げる際の注意点
ナックルカーブを練習で身につけることができたら大きな武器になりそうですね!
そうなんですが、ナックルカーブの投げ方は独特なため、注意しなければならない点があるんです。
注意点…?
このため、まずはナックルカーブの投げ方における注意点とはどのようなものなのか、先に把握しておくことにしましょう。
コントロールにバラツキが出やすい
山なりの遅いボールを真ん中に投げるのと、普通にストレートを真ん中に投げる難易度を比較した場合、難易度が高いのは山なりの遅いボールを真ん中に投げる方になります。
山なりの遅いボールは、ボールが落ちて真ん中にいくような軌道を予測した投げ方をしなければならないのが理由です。
ナックルカーブは少し山なりのボールであることに加え、さらにカーブ回転をかける必要があるため、他の変化球の投げ方以上にボールのリリースに注意しないとコントロールが安定しません。
リリースポイントの違いが他の変化球より大きい
速いボールを投げる際、前の方でボールをリリースしますが、ボールを抜く少し山なりのナックルカーブを投げる場合、上の方でボールをリリースする必要があるため、ナックルカーブを多投するとリリースポイントの影響を受けやすくなってしまいます。
野球でストレートなどの速いボールの投球時に、その影響で通常よりも上の方でボールをリリースする投げ方になりやすく、ボールが高めに浮いてしまうため注意しなければなりません。
ナックルカーブのボールの握り方と投げ方
ナックルカーブを投げるには、以下の3点が重要なポイントです。
■ボールを抜くことができる
■回転を多くかけることができる
■人差し指をうまく使うことができる
カーブと共通している部分もありますが、握り方は独特でナックルに近いため、握力の強さも必要になります。
ボールを抜くことができいないと、ワンバウンドしてしまうような投球になり、回転をかけることができないと、変化球ではなくただのスローボールになってしまいます。
このため、ここではナックルカーブの投げ方に加え、自分に合ったナックルカーブの握り方を見つけることができるように、3種類のナックルカーブの握り方を解説していきます。
ナックルカーブの握り方①
■中指を縫い目に沿うようにかける
■人差し指と中指の間は開けずに人差し指を折り曲げて爪側を縫い目にかからないように握る
■親指を縫い目にかけずに人差し指と中指の対角の位置で支える
人差し指と親指を縫い目にかけないようにすることで、ボールを抜きやすくした握り方です。
リリース時に中指の力でカーブ回転をかけますが、折り曲げた人差し指を伸ばしてボールを弾くようにするのがコツで、より多くの回転をかけることができます。
野球で初めてナックルカーブの投げ方に挑戦するという人は、まずこの握り方で投げてみるといいでしょう。
ナックルカーブの握り方②
■中指を縫い目に沿うようにかける
■人差し指と中指の間は開けずに人差し指を爪を立てた状態で縫い目の上に置いて握る
■親指を縫い目にかけ人差し指と中指の対角の位置で支える
親指も縫い目にかけることで、親指の力もボールに伝わりやすくなるため、カーブ回転をより多くかけることができる握り方です。
また、人差し指も爪を立てた状態で縫い目に置いているため、人差し指を伸ばしてボールを弾く際もさらに多くの回転をかけることができます。
親指の力を伝えやすくするために、親指は腹の部分ではなく側面が縫い目にかかるように握るのがコツです。
ナックルカーブを投げた際に、思ったより回転がかからない、という人向けの握り方になります。
ナックルカーブの握り方③
■人差し指と中指の間は開けずに人差し指を折り曲げて爪側を縫い目の幅が狭い部分にかける
■それ以外の指は縫い目にかけずに親指と薬指でボールを挟むようにして握る
人差し指以外は縫い目にかけないことでボールを抜きやすくし、縫い目にかけた人差し指でボールを弾いてカーブ回転をかける握り方で、投球フォームがサイドスローの人に向いています。
親指と薬指でボールを挟んでいるため、腕が横から出る投げ方の方がスムーズにリリースできます。
他の投球フォームでも投げることはできますが、手首を捻る投げ方になりやすく肘に負担がかかるため注意が必要です。
ナックルカーブのリリース時の腕の使い方①
野球でナックルカーブを投げる際、テイクバックして腕がトップの位置に近くなった段階で以下のようにリリースします。
➀小指をキャッチャーの方向に向ける
②人差し指と親指からボールを抜くようにリリースする
投球時にストレートを投げる時と同じように腕を振ってリリースすることが重要で、ボールを抜こうと意識し過ぎて腕の振りが鈍くなると、ボールがあまり回転せず、曲がりも落差も小さくなってしまいます。
また、腕の振りが鈍くなることで、バッターに遅いボールがくると読まれてしまうリスクもあるため、腕の振りには注意するようにしましょう。
ナックルカーブのリリース時の腕の使い方②
ナックルカーブの球速を上げたい場合は、テイクバックして腕がトップの位置に近くなった段階で以下のようにリリースします。
➀ストレートを投げる時と同じ手の向きでボールを切るように中指で横回転をかける
②人差し指と親指からボールを抜くようにリリースする
この投げ方でも同様に、ストレートを投げる時と同じように腕を振ってリリースすることが重要です。
ストレートを投げる時と同じ手の向きにすることで球速は上がりますが、ボールを抜きにくくなるため難易度は高くなります。
折り曲げた人差し指を使ってうまく抜くことができるように、野球で投球練習を行い感覚をつかんでおくことが必要です。
ナックルカーブの投げ方が上手くなるコツ
実際に野球でナックルカーブを投げた際、ボールをうまく抜くことができない、思うように回転がかからず曲がりや落差が安定しない、という人は投げ込みの練習で身体に覚えさせることが重要になります。
また、それに加えて投げ方のコツをつかむことも必要になるため、ここではナックルカーブの投げ方が上達するコツとはどのようなものなのか、具体的に見ていくことにしましょう。
カーブの握りで投げ方の感覚をつかむ
野球でピッチャーを始めたばかりの初心者で、初めて変化球の投げ方に挑戦するケースの場合、独特な握り方でリリースするナックルカーブは少しハードルが高いため、まずは普通のカーブの握り方で投球練習を行い、ボールを抜くようにリリースして回転をかける、という投げ方の感覚をつかむことが重要です。
安定してボールを抜くようにリリースして回転をかけることができるようになったら、ナックルカーブの握り方にして同じように腕を振って投球練習を行い、コントロールを安定させていきます。
カーブの投げ方に関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
ボールを浅く持つ握り方でリリースする
ボールと手のひらを密着させて握ると、カーブ回転がかかりにくく、ボールも抜きにくくなってしまうため、ボールと手のひらに隙間を作り、浅く持つ握り方でリリースするのがコツです。
実際に野球でうまくナックルカーブを投げることができない、という人はボールを浅く持つ握り方になっていない可能性があります。
ナックルカーブ以外にもボールに回転をかける球種を投げる場合は、ボールを浅く持つ握り方にすることが重要です。
ボールは軽く握ってリリースする
ボールを強く握るとカーブ回転がかかりやすくなりますが、ボールを抜きにくくなってしまうため、ボールが不安定になるくらいのイメージで、軽く握る持ち方でリリースするのがコツです。
腕をしっかり振ることができれば、回転がかかりやすい握り方にしているため、まずはボールを抜くことを優先して、その後に理想的なバランスになるように握る強さを調整していくようにしましょう。
手首を使わずにリリースする
リリース時に手首を使うことをスナップを利かせるとも言いますが、手首を使うとボールにカーブ回転がかかりやすく球速もアップする反面、ボールを抜きにくくなってしまいます。
実際に野球でナックルカーブを投げた際、ボールをうまく抜くことができない、という人は手首を使わずに腕の振りだけでリリースするのがコツになります。
また、ボールを曲げようと手首を捻ってリリースしてしまうと、肘に負担がかかり故障の原因になるため注意が必要です。
手の甲をキャッチャーの方向に向けてリリースする
小指をキャッチャーの方向に向け、ストレートと同じように腕を振る投げ方にしていても、カーブ回転がかかりにくい場合は、手の甲をキャッチャーの方向に向けるようにしてリリースするのがコツです。
腕がトップの位置に近くなった段階で、小指がキャッチャーの方向に向いている状態から、手の甲がキャッチャーの方向に向くように手を動かして腕を振ることで、ボールにカーブ回転の力が伝わりやすくなります。
ボールをリリースした後に、手のひらが上を向いているイメージで投げるようにしましょう。
ナックルカーブで投球の幅を広げよう!
ナックルカーブは独特なボールの握り方のため、コントロールを安定させるのが難しく、簡単にマスターできる変化球ではありませんが、身につけることができれば大きな武器になります。
球速の異なるナックルカーブを使い分け、遅いナックルカーブは普通のカーブのような使い方、速いナックルカーブは決め球に、といった投げ方も可能で、野球でピッチャーをした際に投球の幅が広がるため、ここまで解説してきた握り方や投げ方のコツを参考に挑戦してみてください。