ピッチャーには様々な記録があり、チームに対する貢献度や投手としてどれだけ成績を残せたかを判断する基準になっています。
ピッチャーに関する記録を項目ごとに分け、必要になる計算方法と併せて詳しく解説していますので参考にしてみてください。
野球の投手記録とは?
投手記録とは、野球でピッチャーの投球に関する結果を数値化して、チームに対する貢献度や個人の能力を評価するための統計データのことで、試合ごとに増えていくものや、シーズンや通算の平均値で算出するものがあります。

ピッチャーにとって大事なデータなんですね!
投手記録の項目
野球の投手記録と聞くと、防御率や勝利数などが思い浮かぶかもしれませんが、それ以外にもあまり聞き慣れないものも多くあります。
では、ピッチャーの投手記録にはどのようなものがあるのか、項目ごとに具体的に見ていくことにしましょう。
試合出場(登板)
ピッチャーにおける試合出場とは、投手の守備位置について投球をした際の投手記録で登板とも言います。
内野手や外野手がマウンドに上がり投球をした際も登板が記録されますが、逆にピッチャーが投球をせずに他のポジションを守った場合は、試合出場は記録されますが登板は記録されません。
投球回
投球回とは、ピッチャーが登板したイニング数をカウントした投手記録で、投球回数、投球イニングとも言います。
ピッチャーが交代して投げ終えることを降板と言いますが、イニングの途中で降板した場合は、奪ったアウトの数で投球回を記録します。
野球はスリーアウトでチェンジになるため1回を三分割して、ノーアウトで0/3イニング、ワンアウトで1/3イニング、ツーアウトで2/3イニング、スリーアウトで3/3イニングで1回、と表現しています。
試合当初
試合当初とは、試合の最初に投げる、先発ピッチャーが途中で降板した試合数をカウントした投手記録で当初とも呼ばれ、試合当初数と後述する完投数の合計が先発登板数になります。
交代完了
先発ピッチャーが降板した後に投げるピッチャーをリリーフ、または中継ぎと言いますが、交代完了とは試合の最後まで投げたリリーフピッチャーに対する投手記録で完了とも呼ばれ、先発ピッチャーが最後まで投げた場合は、交代完了ではなく完投が記録されます。
補回試合
補回試合とは、ピッチャーが9イニングを超える投球回を投げた際の投手記録で補回とも呼ばれ、9イニングを超える必要があるため、試合が延長戦になることが条件の記録です。
完投
完投とは、先発ピッチャーが降板することなく、試合が終了する最後まで投げた際の投手記録で、チームの勝敗は関係ないため、負けた試合でも試合終了まで投げた場合も完投が記録されます。
また、降雨などのコールドゲームで規定のイニングの前で試合が終了したケースでも、そのイニングまで投げ続けていれば完投が記録されるようになっています。
勝利
勝利とは、チームが勝利した際の責任投手に対する記録で勝利投手とも呼ばれ、先発ピッチャーに記録される先発勝利、リリーフピッチャーに記録される救援勝利の合計をカウントし、以下の条件を満たすと勝利が記録されます。
●先発ピッチャー
チームが勝っている状況で5イニング以上の投球回を投げて、リードしたままチームが勝利する
●リリーフピッチャー
同点、または負けている場面で登板した後、チームが得点してリードしたままチームが勝利する
敗戦
敗戦とは、チームが敗戦した際の責任投手に対する記録で敗戦投手とも呼ばれ、後述する失点をすることで相手チームにリードを許し、そのままチームが敗北した場合に記録されます。
引分
引分とは、規定のイニングで同点のまま延長戦となり、それでも勝敗がつかずに引き分けとなった際、最後のイニングに登板していたピッチャーに対する投手記録で、お互いのチームの最後に登板したピッチャーに引分が記録されます。
セーブ
セーブとは、チームがリードしている場面で登板したリリーフピッチャーが、リードを守り切って試合を終了させた際の投手記録です。
精神的、肉体的にプレッシャーのかかる試合の最後に登板するリリーフピッチャーのことを抑え、またはクローザーと言います。
ホールド
ホールドとは、特定の条件を満たして降板したリリーフピッチャーに対する投手記録で、クローザーの前に登板する、信頼できる中継ぎピッチャーのことをセットアッパーと言います。

セーブとホールドに関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
無失点勝利
無失点勝利とは、先発ピッチャーが初回から試合終了まで投げ切って完投し、相手チームから失点することなく勝利投手になった際の投手記録で完封とも呼ばれ、投球数が100球未満で無失点勝利することをマダックスと言います。
降雨などのコールドゲームで規定のイニングの前で試合が終了したケースでも、そのイニングまで失点していなければ無失点勝利が記録されます。
無四球試合
無四球試合とは、先発ピッチャーが初回から試合終了まで投げ切って完投し、四球と死球を出さなかった際の投手記録で、失点の有無は関係なく勝利投手、敗戦投手どちらにも記録されます。
また、降雨などのコールドゲームで規定のイニングの前で試合が終了したケースでも、そのイニングまで四球と死球を出していなければ無四球試合が記録されます。
完全試合
完全試合とは、先発ピッチャーが初回から試合終了まで投げ切って完投し、相手チームのバッターに一度も出塁を許さずに勝利投手になった際の投手記録で、パーフェクトゲームとも言います。

引き分けになった場合や降雨などのコールドゲームで規定のイニングの前で試合が終了した場合は、完全試合は記録されません。
ノーヒットノーラン
ノーヒットノーランとは、先発ピッチャーが初回から試合終了まで投げ切って完投し、相手チームにヒットと得点を許さずに勝利投手になった際の投手記録で、四球、死球、エラー、打撃妨害、振り逃げであれば、出塁されてもノーヒットノーランが記録されます。
打撃妨害とは、野球で守備側の野手がバッターのバッティングを妨害する行為で、振り逃げとは3球目のストライクのボールをキャッチャーが捕球できなかった場合、バッターが一塁へ進塁を試みることができるルールです。

完全試合と同様に、引き分けになった場合や降雨などのコールドゲームで規定のイニングの前で試合が終了した場合は、ノーヒットノーランは記録されません。
クオリティ・スタート/ハイ・クオリティ・スタート
クオリティ・スタートとは、先発ピッチャーが6イニング以上の投球回を投げて、後述する自責点を3点以内に抑えた際の投手記録で、先発ピッチャーの役割を果たしたと評価される基準になっています。
ハイ・クオリティ・スタートとは、クオリティ・スタートを上回る、先発ピッチャーが7イニング以上の投球回を投げて、自責点を2点以内に抑えた際の投手記録です。
対打者
対打者とは、野球の試合で対戦したバッターのバッティングが完了すると、バッティングの結果に関係なく登板していたピッチャーにカウントされる投手記録です。
奪三振
奪三振とは、ピッチャーがバッターから三振を奪った際の投手記録で、振り逃げになりバッターランナーが出塁した場合もピッチャーに奪三振が記録されます。
失点
失点とは、出塁したランナーがホームインして得点を許した際の投手記録で、ランナーを残した状況で降板後、次に登板したピッチャーが打たれてそのランナーがホームインした場合は、出塁を許した方のピッチャーに失点が記録されます。
自責点
自責点とは、ヒット、スクイズ、犠牲フライ、フィルダースチョイス、盗塁、後述する与四球、与死球、暴投、ボークによって失点した際の投手記録で、失点と同様にランナーを残した状況で降板後、次に登板したピッチャーが打たれてそのランナーがホームインした場合は、出塁を許した方のピッチャーに自責点が記録されます。
フィルダースチョイスとは、野球で内野ゴロを処理した野手が、塁上のランナーをアウトにする目的で一塁以外の塁へ送球した結果、そのランナーとバッターランナー、どちらもアウトにすることができなかったプレーのことを言います。
ただし、以下のケースでは失点は記録されますが、自責点は記録されません。
■野手のエラー、打撃妨害、走塁妨害で出塁したランナーがホームインして失点した場合
■野手のエラーが発生した際、そのエラーがなければスリーアウトでイニングを終了することができた状況になった後のプレーでの失点
走塁妨害とは、野球で守備側の野手がランナーの走塁を妨害する行為でオブストラクションとも呼ばれています。
被安打
被安打とは、ピッチャーがバッターにヒットを打たれた際の投手記録で、シングルヒット、ツーベースヒット、スリーベースヒット、ホームランがカウントの対象になります。
被本塁打
被本塁打とは、ピッチャーがバッターにホームランを打たれた際の投手記録で、被弾とも呼ばれています。
被犠打
被犠打とは、ピッチャーがバッターに塁上のランナーを進塁させる目的で行うバントを決められた際の投手記録で、1塁ランナー、または2塁ランナーを先の塁へ進める犠打は送りバント、3塁ランナーをホームインさせるための犠打はスクイズと言います。
被犠飛
被犠飛とは、ピッチャーがバッターにランナーがタッチアップでホームインする、犠牲フライを打たれた際の投手記録で、ランナーがタッチアップで進塁しても、ホームインしなかった場合は被犠飛は記録されません。
与四球
与四球とは、ピッチャーがバッターに対して、ボール球を4球投げて四球を与えた際の投手記録です。
ピッチャーが意図的にバッターに対して四球を与える故意四球(敬遠)と、監督が審判に対してバッターに四球を与える旨を伝えることで自動的に四球となる申告敬遠、どちらも与四球としてカウントされます。
与死球
与死球とは、ピッチャーの投げたボールがバッターに当たる、デッドボールを与えた際の投手記録です。
暴投
暴投とは、キャッチャーが普通に捕球できないボールを投げることでワイルドピッチとも呼ばれ、暴投よってランナーが進塁するとカウントされますが、打球の捕球ミスや悪送球などのプレーではないため、ピッチャーにエラーは記録されません。
ボーク
ボークとは、ピッチャーが投球時や牽制時、送球時の動作などに対する反則行為をした際の投手記録で、ボークが宣告されるとランナーがいた場合は進塁が許され、ランナーがいなかった場合はボールカウントのボールがひとつ増えます。

ボークに関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
計算が必要な投手記録の項目
ここまで解説してきた投手記録の項目は、記録するたびにカウントされて増えていくものでしたが、計算が必要な投手記録もあります。
では、どのような計算が必要な投手記録があるのか、ここでは項目ごとに計算方法と併せて具体的に解説していきます。
ホールドポイント
ホールドポイントとは、ホールド数と救援勝利数を足した投手記録で、リリーフピッチャーとしてのチームの貢献度を判断する基準になっています。
ホールドポイントの計算方法
例:ホールド15、救援勝利3を記録した場合
15+3=18
で、ホールドポイントは18となり、数値をそのまま表記します。
防御率
防御率とは、自責点に9をかけた数値を投球回で割った投手記録で、1試合(9イニング)を投げると何点に抑えるかを示す指標のため、数値が低いほど失点しないピッチャーということになり、ピッチング内容を評価する際にもよく使われます。
防御率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を防御率として用います。
例:投球回25 1/3イニングで自責点5を記録した場合
1/3イニングは0.33、2/3イニングは0.66を加えて計算します。
5×9÷25.33=1.77654
で、防御率は1.78となり、数値をそのまま表記します。
勝率
勝率とは、勝利数を勝利数と敗戦数を足した数値で割った投手記録で、数値が高いほどチームが勝てる期待を持てるピッチャーということになります。
勝率の計算方法
数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値を勝率として用います。
例:5勝2敗を記録した場合
5÷(5+2)=0.71428
で、勝率は7割1分4厘となり“.714”と表記します。
奪三振率
奪三振率とは、奪三振数に9をかけた数値を投球回で割った投手記録で、1試合(9イニング)を投げると三振をいくつ奪うかを示す指標のため、数値が高いほど自力でアウトをとることができるピッチャーということになります。
奪三振率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を奪三振率として用います。
例:投球回25 2/3イニングで20奪三振を記録した場合
20×9÷25.66=7.01480
で、奪三振率は7.01となり、数値をそのまま表記します。
被打率
被打率とは、被安打を打数で割った投手記録で、数値が低いほどヒットを打たれるケースが少ないピッチャーということになります。
打数とは、バッターと対戦した対打者数から、与四球、与死球、被犠打、被犠飛、打撃妨害、走塁妨害の結果を除いた数値です。
被打率の計算方法
数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値を被打率として用います。
例:バッターと30回対戦して被安打5、与四球2だった場合
打数は対打者数から与四球の2を除いた28になります。
5÷28=0.178571
で、被打率は1割7分9厘となり“.179”と表記します。
被安打率
被安打率とは、被安打に9をかけた数値を投球回で割った投手記録で、1試合(9イニング)を投げると、ヒットを何本打たれるかを示す指標のため、被打率と同様に数値が低いほどヒットを打たれるケースが少ないピッチャーということになります。
被安打率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を被安打率として用います。
例:投球回25 2/3イニングで被安打18を記録した場合
18×9÷25.66=6.31332
で、被安打率は6.31となり、数値をそのまま表記します。
被本塁打率
被本塁打率とは、被本塁打を投球回で割った数値に9をかけた投手記録で、1試合(9イニング)を投げると、ホームランを何本打たれるかを示す指標のため、数値が低いほどホームランを打たれるケースが少ないピッチャーということになります。
被本塁打率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を被本塁打率として用います。
例:投球回25 1/3イニングで被本塁打3を記録した場合
3÷25.33×9=1.06592
で、被本塁打率は1.07となり、数値をそのまま表記します。
与四球率
与四球率とは、与四球に9をかけた数値を投球回で割った投手記録で、1試合(9イニング)を投げると、フォアボールをいくつ与えるかを示す指標のため、数値が低いほどコントロールが安定しているピッチャーということになります。
与四球率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を与四球率として用います。
例:投球回25 2/3イニングで与四球5を記録した場合
5×9÷25.66=1.75370
で、与四球率は1.75となり、数値をそのまま表記します。
失点率
失点率とは、失点に9をかけた数値を投球回で割った投手記録で、1試合(9イニング)を投げると何点失うかを示す指標です。
自責点ではなく失点で計算するため、野手のエラーなどによる失点も含まれるのが防御率との違いになります。
失点率の計算方法
数値の小数第3位を四捨五入して第2位までの値を失点率として用います。
例:投球回25 1/3イニングで失点8を記録した場合
8×9÷25.33=2.84247
で、失点率は2.84となり、数値をそのまま表記します。
WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
WHIPとは、被安打と与四球を足した数値を投球回で割った投手記録で、1イニングで何人のランナーの出塁を許すかを示す指標のため、数値が低いほどランナーを出さないピッチャーということになります。
WHIPの計算方法
数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値をWHIPとして用います。
例:投球回25 2/3イニングで被安打20与四球3を記録した場合
(20+3)÷25.66=0.89633
で、WHIPは0.896となり、数値をそのまま表記します。
自分のピッチングを分析するために投手記録を活用しよう
野球の試合中には様々なものが記録されるため、試合に勝った、負けた、というだけで終わってしまうのは非常にもったいないことです。
投手記録をカウント、計算し数値化して分析することで、防御率は低いけど与四球が多いなど、ピッチャーとしての新たな発見や、自分のピッチングを見直すことができるため、ここまで解説してきた投手記録の項目、計算方法を参考にしてみてください。

打撃記録に興味のある方は以下をご覧ください。





















