【変化球】ナックルの握り方と投げ方のコツを解説

変化球ナックルとは？

野球でピッチャーが投げるナックルとは、空気抵抗を大きく受けて左右に揺れるように不規則な変化をしながら下方向に沈んでいく変化球のことで、投げるたびに空気抵抗の受け方が変わるため、ピッチャーもどのような変化をするのかわからず、キャッチャーも捕球するのに苦労するという意味から魔球とも呼ばれています。

変化球ナックルの特徴

ナックルは、リリースしてからキャッチャーがボールを受けるまで無回転、多くても数回転しかしないため、空気抵抗を大きく受けたボールは、縫い目の位置の違いで変化が不規則になります。

その変化に対応するため、メジャーリーグではナックルを投げるピッチャーが登板する場合のみ、専門のキャッチャーを起用したり、特別なミットを使用するチームもあります。

このように、ナックルは他の変化球にはない独特な特徴がありますが、それ以外にも特徴があるため、ここでは野球でピッチャーが投げるナックルには、他にどのような特徴があるのか、具体的に見ていくことにしましょう。

ナックルの特徴➀肩と肘の負担が少ない

ナックルを投げる際、ボールが限りなく無回転に近くなるような握り方でリリースするため、ストレートの投球時のような腕を強く振る投げ方になりません。

また、カーブやシンカーのようなボールを抜く技術が必要な投げ方や、スライダーやシュートのような手首や腕の使い方が重要になる投げ方にもならず、無理に曲げようと手首を捻ってしまうケースもないため、肩や肘の負担が少ないのが特徴で、肩や肘を故障するリスクを軽減することができます。

ナックルの特徴②ナックルだけで勝負できる

空気抵抗を大きく受け、縫い目の位置の違いで投げるたびに異なる変化をするナックルは、多くの変化球を持ち球にして投げ分けるケースに近くなるため、他の変化球を使わずにナックルだけを投げて勝負することができるのも特徴のひとつです。

ナックルの特徴③決め球として使用できる

ナックルは回転を減らしやすいボールの握り方で、投げ方も独特でストレートの投球時のように腕を強く振ってリリースしないため球速が遅く、他の変化球と比較するとバッターに読まれやすい球種です。

しかし、特徴である不規則な変化で様々な軌道を描くことが大きな武器となり、バッターはナックルがくるとわかっていても、どのような変化をするのか予測しにくく、バットの芯でとらえるのが非常に難しいため、決め球として使用される球種の中でもトップクラスの変化球なのです。

ナックルのボールの握り方と投げ方

野球でナックルを投げるには、以下の2点が重要なポイントです。

■ボールの回転を限りなく少なくすることができる
■コントロールを安定させてリリースすることができる

回転を減らすことができない投げ方になると、空気抵抗を受けずに変化が小さいスローボールになってしまい、コントロールを安定させるには、ボールが不安定にならない握り方でリリースポイントを固定する必要があります。

このため、ここではナックルの投げ方に加え、自分に合ったナックルの握り方を見つけることができるように、5種類のナックルの握り方を解説していきます。

ナックルの握り方①

野球でナックルと聞くと、このような握り方をイメージする人も多いのではないでしょうか。
親指と小指を縫い目にかけずに、人差し指、中指、薬指を折り曲げて握る、または爪を立てて握ることで回転を減らしやすくし、変化が大きくなる握り方です。

ナックルの握り方②

親指だけを縫い目にかけ、親指と薬指で挟むことで回転を減らしやすくし、折り曲げる、または爪を立てる指を人差し指と中指の2本にした、バランスのとれた握り方です。

ナックルの握り方③

折り曲げる、または爪を立てる指を人差し指と中指の2本にした方法で投げるナックルは、変化が小さくなるケースが多いですが、親指と薬指を縫い目にかからないようにすることで回転を減らしやすくし、変化を大きくさせる握り方です。

ナックルの握り方④

親指、薬指、小指を縫い目にかけているため、回転を減らしにくくなりますが、親指を薬指の対角の位置にすることでボールが安定しやすくなる握り方です。

ナックルの握り方⑤

球速を上げるのは難しいですが、回転を減らしやすくし変化を大きくさせることができる握り方です。

ナックルのリリース時の腕の使い方

野球でナックルを投げる際、テイクバックして腕がトップの位置に近くなった段階で、指を折り曲げた場合は指を前へ押し出すようにリリースし、指の爪を立てた場合は指を弾くようにリリースします。

投球時に腕を振るとボールに自然とバックスピンがかかってしまうため、逆にトップスピンがかかるようにリリースして回転を相殺させ、限りなく無回転に近づけるのがナックルの投げ方になります。

また、手首のしなる力を利用してスナップを利かせてしまうと、バックスピンがかかりやすくなるため、手首を使わないようにリリースすることも重要です。

ナックルの投げ方が上手くなるコツ

特に野球でピッチャーを始めたばかりの場合、ナックルは変化球の中でも難しい部類に入るため、うまく回転を減らすことができずに変化しない、コントロールを安定させることができない、という人も多いのではないでしょうか。

ナックルの投げ方が上手くなるにはコツをつかむことも重要になるため、ここではナックルの投げ方が上達するコツとはどのようなものなのか、具体的に見ていくことにしましょう。

短い距離でリリース時の腕の使い方を覚える

いきなり野球のマウンドから投球練習のようにナックルを投げてしまうと、指を前へ押し出すようにリリースする、または指を弾くようにリリースすることよりも、コントロールを安定させる方に意識が向いてしまうため、最初はマウンドとホームよりも短い距離で投げるのがコツです。

まずは短い距離でナックルを投げて、指を前へ押し出す、または指を弾く独特なリリース時の腕の使い方を覚えることが重要で、この投げ方ができないとコントロールが安定していても、変化の小さいスローボールになってしまいます。

キャッチボールのように軽く投げる

短い距離でナックルのリリース時の腕の使い方を覚えることができたら、マウンドとホームの距離に近づけて投げていきますが、速いナックルを投げようとして、腕を強く振りすぎないようにすることが重要です。

腕を強く振るとバックスピンがかかりやすくなり回転が増え、より大きな力で指を前へ押し出すようにリリースする、または弾くようにリリースする必要があるため、バランスがとれずに変化が小さくなる原因になってしまいます。

このため、最初はキャッチボールのように腕を軽く振ってナックルを投げるのがコツで、指に大きな負担をかけずに回転を減らすことができます。

ダーツの投げ方をイメージしてリリースする

野球でナックルを投げる際、ストレートや他の変化球を投げる感覚で、腕を振り下ろしてリリースするとバックスピンがかかりやすくなってしまうため、ダーツの投げ方のように腕をまっすぐ伸ばすイメージでリリースするのがコツです。

腕をまっすぐ伸ばすイメージでリリースし、リリースした後は力を抜いて腕の振りを止めるようにすると、バックスピンがかかりにくくなり回転を減らすことができます。

コンパクトな投球フォームでリリースする

ナックルはどのような変化をするのか予測できないため、他の変化球の投げ方以上にボールのリリースに注意しなければなりません。

足を高く上げる、テイクバックが大きくなる、ステップ時に足を大きく踏み出す、というような投球フォームの場合、コントロールが安定しない原因となってしまうため、リリースポイントを固定しやすくなるように、コンパクトな投球フォームでリリースするのがコツです。

また、余計な力が入って回転がかかりやすくなるのを防ぐために、下半身をあまり使わない投球フォームにするのもコツになります。

ストレートに近い軌道になるようにリリースする

バックスピンがかかりにくい腕の使い方と、コントロールが安定する投球フォームでナックルを投げても、ボールが山なりだと進行方向に対する空気抵抗を大きく受けることができず、変化が小さくなってしまうため、できるだけストレートに近い軌道になるようにリリースするのがコツです。

稀少なナックルボーラーになろう！

ナックルはボールの握り方に加え、リリース時の腕の使い方も独特で、投球フォームまで変えるケースもあるため難易度が高く、変化しないと打ちやすいスローボールになってしまうリスクもあります。

しかし、どのような変化をするのか誰も予測できず、バッターはわかっていてもミートするのが難しい、というのは非常に魅力的で強力な武器になるため、ここまで解説してきたボールの握り方とリリース、投げ方のコツを参考に、ナックルの取得に挑戦してみてください。