バッティングの悪いクセを矯正するのは大変なため、少年野球の時期に正しい基本を身につけておくことが重要です。
少年野球のバッティングで基本となる練習方法を5つの項目に分け、上達するコツを詳しく解説していますので参考にしてみてください。
少年野球でのバッティング練習の指導方法とコツ
少年野球では、バッティングの基本となる練習方法や上達するコツは、自分で学ぶよりも教えてもらって覚えるケースがほとんどです。
しかし、特に少年野球をやっている低学年の子供は、教える側がうまく対応しないと、単調で楽しくない辛い練習はすぐに嫌になって飽きてしまいます。
確かに子供は根気がないですもんね…。
このため、まずは少年野球で指導する立場の監督やコーチ、少年野球をやっている子供に野球を教えたいという親御さんが、バッティング練習を教えるにはどのような方法やコツがあるのか、具体的に解説していきます。
練習で少しずつバッティングを修正させる
少年野球をやっている子供は、一度に多くのことに対応するのが難しく、混乱する原因になってしまうため、バッティングを教える際はこちらの要求を一度にまとめて伝えないようにすることが重要です。
このため、修正させたいポイントを少しずつ簡潔に教えるようにして、クリアできたら別の修正ポイントを教える、という方法で達成感を子供に与えるのがコツで、思った通りにできたことで自信を持ち、本人のモチベーションも上がります。
また、ひとつの練習時間を短くして、様々な練習を行い飽きさせないようにするのもコツです。
バッティングで同じ失敗をしないように指導する
バッティングで失敗をした際、単純に子供に失敗したことを怒ってしまうと、少年野球の試合で失敗を恐れて萎縮してしまうため、なぜ失敗をしたのかを教え、同じ失敗をしないように正しいバッティングに修正させることが重要です。
正しいスイングができずバットに力が伝わらなかった、体が前へ突っ込む打ち方でボールが飛ばなかった、など理解できるように具体的に教えるのがコツで、少年野球の試合でも失敗を恐れなくなります。
ここでは、バッティングを上達させる練習方法を解説していきますので、バッティングフォームに関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
少年野球のバッティングの基本と上達させる練習方法
バットにボールが当たらない、打てないというケースが少年野球を始めたばかりの小学生の子供に多く見られるのは、バッティングの基本に関して知識や技術がなく、正しい打ち方で練習を行っていないためです。
しかし、逆にバッティングの正しい基本を教えてあげれば身体が覚えやすい時期でもあり、悪いクセを早く矯正することができるため、ここでは少年野球のバッティングで基本となる練習方法と、バッティングを上達させるコツを具体的に見ていくことにしましょう。
少年野球のバッティング上達の練習方法①素振り
バッティングの基本となる素振りの練習
少年野球に限らず、野球において素振りはバッティングの基本で、正しい打ち方ができるバッティングフォームを固めるために必要不可欠な練習方法です。
バッティングを上達させるには、自分のバッティングフォームを固め、常に自分の打撃ができるようにしておくことが重要になります。
少年野球をやっている子供がバッティングフォームを固める際、ボールを打つ打撃練習ではボールを打つことに意識が向いてしまうため、まずは素振りを行う方法で正しいバットの振り方を覚えるようにしましょう。
バッティングフォームを固める素振りの練習
素振りの練習でバッティングフォームを固める際、基本となる重要なポイントは以下になります。
➀すぐにスイングできるようにバットの位置がトップの近くになるように構える
②軸足にしっかりと体重を乗せてタメを作る
③テイクバックでステップと同時にスイングしないように割れを作る
④最短距離でスイングするためバットをグリップから出す
⑤両脇を閉めてインサイドアウトのスイング軌道にする
⑥最後のフォロースルーは肘を伸ばして前を大きくする
一度に全てをやろうとすると子供の場合は混乱してしまい、正しいバットスイングができなくなる可能性があるため、ひとつずつチェックしながら素振りの練習を繰り返し行い、バッティングフォームを固めていくのがコツです。
トップ?割れを作る?インサイドアウト?
トップとはスイングを開始する位置のことです。
割れとは、テイクバックで腕はキャッチャー方向へ動きトップの位置へ、それと同時にステップで足は逆にピッチャー方向へ踏み出します。
この上半身と下半身が反対方向への動きをしている状態のことを言います。
インサイドアウトとは、バットが身体の近くを最短距離で通ることで、加えてバットをグリップから出すと、バットのヘッドが遅れて出るため、バットがしなるような力強いスイングもできるんですね。
なるほど!
そういう意味だったんですね!
レベルスイングを覚える素振りの練習
少年野球でバッティングが上達しない原因のひとつに、野球のバッティングの基本であるレベルスイングができていない可能性があります。
レベルスイングは、上半身の傾きとスイング軌道の角度が90度で、バットに一番力が伝わるため、少年野球の練習で肩のラインと平行になるようにバットを出すことを意識して素振りをするのがコツです。
レベルスイングって地面と平行ではないんですか?
地面ではなく肩のラインと平行なんです。
このため、低めのボールにはバットが下から出るスイングに、高めのボールにはバットが上から出るスイングになるんですね。
レベルスイングって、そういう意味だったんですね!
ボールを打つことを意識した素振りの練習
基本となる正しいスイングができるようになったら、ボールを打つことを意識した素振りの練習を行います。
少年野球をやっている子供はボールの軌道をイメージするのが難しいため、バットを横に持った状態で前でしゃがみ、バットの先端をボールに見立てて素振りをするといいでしょう。
この練習では、バットの先端をアウトコースやインコース、高めや低めのボールになるように動かすのがコツで、各コースに対してバッティングフォームを崩さずに、レベルスイングでバットを振ることができているかチェックします。
スイングスピードを上げる素振りの練習
少年野球の場合、バットのスイングスピードが遅くボールに力負けしてしまうケースが多いため、少し重いバットやトップバランスのバットで素振りを行い、スイングスピードを上げる練習をするのが基本になります。
ただし、特に低学年の子供は重すぎるバットで素振りをすると、重みでバットのヘッドが下がりアッパースイングになるなど、正しい打ち方ができずバッティングフォームを崩したり、ケガをするリスクもあるため注意が必要です。
少年野球の試合で使用しているバットでも、繰り返し素振りの練習を行うことで、スイングスピードを上げることは可能なため、無理に重いバットを使わないようにしましょう。
少年野球のバッティング上達の練習方法②ティーバッティング
バッティングティーでボールを打つティーバッティングの練習
バッティングティーにボールをのせて打つティーバッティングは、バッティングティーの置く位置や高さを変えることで、各コースに対するバッティングの感覚をつかむことができる練習方法です。
少年野球でバッティングを上達させるには、どのコースに対しても正しい打ち方でボールをミートできるように練習することが重要になります。
この方法でしっかりとボールを打つことができなければ、動くボールに対して思うような打撃をするのは難しくなるため、確実にボールをミートできるように繰り返し練習しましょう。
ミートポイントで打つコツをつかむティーバッティングの練習
バッティングティーを使用したティーバッティングで、正しいバッティングフォームでボールをとらえることができるようになったら、一番オーソドックスで基本となる、バッターと対角の位置からトスされたボールを打つティーバッティングで、動くボールに対しても正しい打ち方でボールをミートするコツをつかむ練習を行います。
このティーバッティングの練習で安定したスイングでミートできるようになったら、トスするボールのスピードに変化をつけて、バットを振るタイミングが変わっても正しい打ち方でボールをとらえることができるようにしていきます。
サンドボールで芯で打つコツをつかむティーバッティングの練習
サンドボールとは、中に砂の入ったボールのことで、少年野球で使用しているボールよりも重いのが特徴です。
サンドボールを使用してティーバッティングの練習を行うと、ボールが重くバットの芯に当たらないと前へ飛ばないため、ボールを芯でとらえる打ち方のコツをつかむことができます。
また、重いサンドボールを打つことでスイングスピードを上げる練習にもなり、バットを力強く振ることができるようになります。
ただし、少年野球をやっている子供が重いサンドボールを使用する方法でティーバッティングの練習を行う場合、前へ飛ばそうとしてバットが下から出るアッパースイングになりやすいため注意が必要です。
脇を閉めたスイングを覚えるティーバッティングの練習
スイングに移行する際に両脇が開いていると、ボールをとらえるインパクトの瞬間に後ろの手でボールを押し込む動作ができず、特に力のない子供は力負けしてしまいます。
また、バットが下から出るアッパースイングの原因にもなるため、少年野球でスイングに移行する際に両脇が開いてしまう子供がいる場合は、バスタオルを首にかけ両端を脇に挟んだ状態でボールを打つティーバッティングの練習を行うようにしましょう。
ボールをとらえるインパクトの瞬間までバスタオルを挟んだままスイングするのがコツで、両脇を閉めた打ち方を覚えることができるようになります。
身体の軸と腰の回転の使い方を覚えるティーバッティングの練習
バッティングを上達させるには、腰の回転を活かしたスイングをすることも重要なポイントのひとつで、野球で軸がぶれた打撃になってしまうと、体重移動がうまく行えず腰の回転を活かしたスイングができません。
少年野球で軸がぶれる打ち方になっている子供がいる場合は、バッターの真横からトスしてもらったボールを打つティーバッティングの練習を行うと、同時に手打ちになってしまうのも防ぐことができます。
割れを作り腰の回転を利用したスイングをしないとボールをしっかりとミートできないため、自然と身体の軸をぶらさずに体重移動に移行するコツをつかむことができるようになります。
インサイドアウトの打ち方を覚えるティーバッティングの練習
少年野球をやっている子供はボールを打とうとすると、ボールを迎えにいってしまい、身体が前に突っ込むバッティングになるケースが多く見られます。
その場合は、バッターの後ろからトスしてもらったボールを打つティーバッティングの練習方法が効果的です。
ボールを引きつけてインサイドアウトのスイングを意識しないと正面に打球が飛ばないため、身体が前に突っ込む打ち方を矯正することができます。
身体が早く開かない打ち方を覚えるティーバッティングの練習
野球でバッティング時に身体が早く開くと腰の回転を活かすことができず、バットが遠回りするドアスイングにもなるため、手打ちのようになってしまいます。
少年野球で身体が早く開く打ち方になっている子供には、バッターの背中の方からトスしてもらったボールを打つティーバッティングの練習で矯正するようにしましょう。
後ろの肘を押し出すようにして、少し正面から右方向へボールを打つイメージでスイングするのがコツで、身体が早く開いてしまうのを防ぐことが可能になります。
ドアスイングについて詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
タイミングのとり方を覚えるティーバッティングの練習
少年野球では変化球が禁止されていますが、バッターにタイミングを合わされないように、速いストレートと遅いストレートを投げ分け緩急をつける投球は可能なため、バッティングを上達させるには自分のタイミングでスイングすることも重要になります。
タイミングのとり方を覚えるには、地面に叩きつけるようにボールを投げてもらい、ワンバウンドしたボールを打つティーバッティングの練習方法が効果的です。
ワンバウンドしたボールは毎回同じ球筋、速さにならないため、常に自分のタイミングでスイングすることができるようになります。
この練習を行う際、ステップした体勢で止まってボールを待つのではなく、構えからスイングまで一連の流れでボールを打つようにするのがコツです。
頭を動かさない打ち方を覚えるティーバッティングの練習
特に少年野球をやっている低学年の子供は、下半身が不安定でステップ時に頭が動きやすいため、目線がぶれてボールをミートするのが難しくなり、同時に軸もぶれて腰の回転を活かした力強いスイングもできなくなってしまいます。
頭が動いてしまう子供がいる場合は、椅子に座った状態で打つティーバッティングの練習方法が効果的で、椅子に座り下半身を固定させることで、頭を動かさずにスイングするコツをつかむことができるようになります。
少年野球のバッティング上達の練習方法③ロングティー
ボールを遠くへ飛ばすバッティングを覚えるロングティーの練習
トスしてもらったボールを打つのはティーバッティングの練習と同じですが、ロングティーはネットを使用しないのが特徴で、ボールを遠くへ飛ばすコツをつかむのが基本となる練習方法になります。
ただし、少年野球でロングティーの練習を行う際、遠くへ飛ばそうと意識し過ぎると体重移動に移行せずに腕の力だけで打とうとしてしまい、ドアスイングにもなりやすいため、バッティングフォームを崩さないようにしっかりと体重移動を行い、下半身を使ってボールを打つことが重要なポイントです。
バットは少年野球の試合で使用しているものよりも少し軽めのバットでロングティーを行うのがコツで、スイングスピードが上がるためボールを遠くへ飛ばすバッティングを覚えることができるようになります。
少年野球のバッティング上達の練習方法④トスバッティング
正しいバットコントロールを覚えるトスバッティングの練習
トスバッティングはペッパーとも言いますが、近い距離からボールを軽く投げてもらい、投げた人がワンバウンド、またはノーバウンドで捕球できるように打ち返す練習方法で、ティーバッティングやロングティーのようにトスされたボールではなく、投げてもらったボールを打つため、より実践に近い状態でミートポイントの感覚をつかむことができます。
少年野球でトスバッティングの練習を行う場合、以下のように少しずつレベルを上げていくのがコツです。
①ピッチャーに打ち返すことができるようにスイングする
②ワンバウンドでピッチャーに打ち返すことができるようにスイングする
③どのコースに対してもワンバウンドでピッチャーに打ち返すことができるようにスイングする
確実にワンバウンドでピッチャーに打ち返すことができるようになると、ミートポイントで打つための正しいバットコントロールが身につき、バッティングが上達していきます。
なんでペッパーって言うんですか?
何度も打ち返す様子が、コショウを振りかけているように見えることから、ペッパーと呼ばれています。
英語のpepperからきてるんですね!
pepperには「浴びせる」という意味もあるため、トスバッティング以外にも内野の守備練習など、俊敏性を鍛える練習もペッパーと呼んだりします。
そういう意味合いで使うんですね!
少年野球のバッティング上達の練習方法⑤フリーバッティング
ボールをとらえる感覚を身につけるフリーバッティングの練習
フリーバッティングの練習は、一番実践に近い状況でバッティングができるため、他の練習で覚えてきたことを最終チェックする場所になります。
また、少年野球の試合にあまり出ていない子供も、試合でバッティングするイメージを持つことができる練習方法です。
文字通り自由にバッティングができる練習のため、楽しいから好きという子供も多いかもしれませんが、バットにボールが当たらずに空振りが多くなってしまうとあまり効率が良くありません。
なかなかバットにボールが当たらない場合は、ピッチャーのマウンドよりも近い距離から遅いボールを投げてもらう方法でフリーバッティングの練習を行うのが効果的で、空振りする回数を減らすようにします。
まずはバットにボールを当てることを意識して、ボールをとらえる感覚を身につけるようにしましょう。
集中力を身につけるフリーバッティングの練習
少年野球を含め、野球の試合ではヒットを打つことができる確率の高い、絶好球と呼ばれるボールは1打席に1球あるかないかで、バッティングを上達させるにはその絶好球を見逃さずにスイングできる集中力が必要になってきます。
フリーバッティングの練習を少年野球で行う際、何も考えずにただバットを振るのではなく、試合で打席に立った時のように1球も無駄にせずに1球を大事にしてバッティングするのがコツです。
1球ごとに正しいバッティングフォームで、しっかりとボールをとらえることを意識するため、集中力が身につくようになります。
少年野球の時期にバッティングの基本を身につけておこう!
バッティングの正しい基本の習得が早ければ早いほど、バッティングをさらに上達させる練習に多くの時間を費やすことができますが、間違ったことを覚えてしまうとバッティングを矯正する時間が必要になるため、少年野球をやっている期間は今後の野球人生を左右する大事な時期です。
少年野球でバッティングの正しい基本を教え、子供達が上達して成長するのを実感できるように、ここまで解説してきたバッティングの練習方法を参考にしてみてください。