バッティングフォームの矯正には時間がかかるため、少年野球をやっている時期に正しい打ち方を身につけておくことが重要です。
構え方やタイミングのとり方、バットの振り方といった、バッティングフォームの基本を解説していますので参考にしてみてください。
少年野球で正しいバッティングフォームを身につけるには?
バットにボールが当たらない、打てないというケースが少年野球を始めたばかりの小学生の子供に多く見られるのは、バッティングフォームの基本がわからず、正しい打ち方で素振りなどの打撃練習を行っていないためです。
少年野球では自分で学ぶことよりも、教えてもらい覚えることの方が多くなるため、少年野球で指導する立場の監督やコーチ、少年野球をやっている自分の子供に教えたいという親御さんが、間違ったことを教えてしまうことのないように、基本となる正しいバッティングフォームについて理解しておくことが重要になります。
正しいバッティングフォームを身につける方法
野球のバッティングは、バットを構えてからボールを打つまで一連の流れになっており、バットの振り方など流れの過程で悪いフォームになっている状態で、素振りなどの練習でフォームを固めてしまうと矯正に時間がかかってしまうため、少年野球をやっている早い時期で正しいバッティングフォームを身につけておく必要があります。
矯正するのは大変なんですね…。
身体が覚えてしまうため、悪いフォームで打っている期間が長ければ長いほど矯正する時間が必要になるんです。
だから少年野球を始めた段階で正しいフォームを覚えるようにするんですね!
正しいバッティングフォームを身につけるには、基本となるポイントを頭に入れておくことが重要になるため、ここではその基本となるポイントを各項目ごとに解説していきます。
少年野球のバッティングフォームの基本➀構え方
タイミングのとり方やバットの振り方など、野球のバッティングに関する一連の流れは全て構えたところからスタートするため、少年野球の練習で素振りを行い、一番スイングしやすい構え方にすることが重要です。
スムーズにバットが出てこないと、その後のバッティングの流れに影響が出てしまい、少年野球で試合をした際に思うような打ち方ができなくなるため、まずは構え方の基本となるポイントを具体的に見ていくことにしましょう。
スクエアスタンスの構え方にする
基本となる構え方は、大きく分けて以下の3種類があります。
スクエアスタンス
オープンスタンス
クローズドスタンス
オープンスタンス、クローズドスタンスは、少年野球でバッティングフォームを作る構え方としてはハードルが高く、正しい打ち方ができない可能性が高いため、バッターボックスのラインと平行になるように、ピッチャー方向にまっすぐ足を開いて立つ、野球では一番オーソドックスなスクエアスタンスの構え方にするのが基本です。
安定性が高くバッティングフォームが崩れにくいため、どのようなボールでも対応しやすいのが特徴になります。
バットは力を抜いて握るようにする
小学生の子供は少年野球の試合になると、ボールを打とうと意識し過ぎてしまい、バットを強く握って構えるケースが目立ちます。
バットを強く握ってしまうと無駄な力が入り、バットに力が伝わりにくくなってしまうため、構えの段階では力を抜いてバットを握るのが基本で、スイングを開始した後のインパクトの瞬間に、バットに力が伝わりやすい打ち方ができるようになります。
バットの位置がトップの近くになるように構える
ピッチャーの投球に対して素早く反応し、すぐにスイングの体勢を作るバッティングフォームにするのが重要なため、バットの位置がトップの近くになるように構えるのが基本です。
特に少年野球をやっている小学生の子供は力がないため、トップの位置を早く作らないと、ボールに振り遅れる原因になってしまいます。
トップって何ですか?
スイングを開始する位置のことです。
なるほど!
バットの位置がトップになるように構えればすぐにスイングできますね!
それが理想的なんですが、少年野球の練習で素振りなどを行っても固定するのはかなり難しいため、できるだけバットの位置がトップの近くなるように意識しましょう。
腰を前に出すことを意識して構える
軸が真っすぐになるように、背筋を伸ばすバッティングフォームにすることは野球では基本ですが、背筋を伸ばすことを意識し過ぎると、胸が張って肩が動きにくくなり、腕をうまく使うことができなくなってしまうため、腰を前に突き出しお尻が後ろに出るように構えます。
腰を前に出すことを意識したフォームにすることで、自然と背筋が伸びるため肩も動きやすく、バットがスムーズに出るようになります。
両脇は閉めた状態で構える
スイング時に脇が開いていると、バットが下から出るアッパースイングになってしまうため、両脇を閉めた構え方にするのが基本ですが、両脇を閉めてバットを出そうと意識し過ぎて構えると、背中が曲がった打ち方になりやすく、背中が曲がると軸が傾き、同じくアッパースイングになってしまいます。
少年野球の練習で素振りを行った際に、背中が曲がったバッティングフォームになってしまう場合は、後ろの脇は開けた構え方にすることで、背中が曲がらない打ち方にすることができます。
後ろの脇は正しいスイングを行うと自然と閉じるため、構えの段階で開いていても問題ありません。
膝を少し曲げて内ももに力を入れて構える
膝が伸びた状態で立ったように構えてしまうと、下半身の動きが硬くなりスムーズにステップに移行してスイングできなくなるため、膝を少し曲げた状態で構えるのが基本です。
また、ガニ股のように膝が外側を向く構え方になっている場合は、下半身の力が逃げてバットに力を伝えることができなくなるため、内ももに力を入れて構えるようにします。
内ももに力を入れると自然と膝が内側を向くため、下半身の力が逃げるのを防ぐことができます。
少年野球のバッティングフォームの基本②ステップ
野球のバッティングフォームで、構えから移行するステップの重要なポイントは、以下の2点になります。
■ピッチャーの投球動作とタイミングが合わせやすいか
■軸足に体重を乗せてタメを作り踏み込むことができるか
少年野球でも同様で、ピッチャーの投球動作とタイミングが合わなければ、ボールをミートする確率が下がり、軸足に体重を乗せることができていないスイングでは、バットに力が伝わらず手打ちになってしまうため、ここでは基本となるステップを具体的に解説していきます。
ステップ➀すり足のバッティングフォーム
すり足でステップするバッティングフォームは、身体の上下動が発生しにくく目線のブレが少ないため、ボールをとらえやすいのが特徴です。
また、下半身の動きが小さい体重移動で踏み込むため、ボールの緩急にも対応しやすくなります。
ピッチャーとのタイミングを合わせやすいため、少年野球で初めてバッティングフォームを作る場合は、このすり足でステップするフォームにするといいでしょう。
ステップ②足を上げるバッティングフォーム
足を上げてステップするバッティングフォームは、軸足にしっかりと体重を乗せて踏み込むため、タメを作りやすくなります。
また、足を内側に上げることで下半身にねじれが生まれ、腰の回転をより活かすことができるため、力強いバットスイングになるのが特徴です。
ただし、少年野球で足を上げてステップする場合、正しいバッティングフォームにするには、以下の3点に注意する必要があります。
■足を上げる際に身体が伸び上がらないようにすること
■足を外側に上げないこと
■踏み込む際に身体が前へ倒れてバランスを崩さないこと
身体が伸び上がってしまうとタメを作りにくくなり、足を外側に上げてしまうと軸足に体重を乗せることができなくなってしまいます。
少年野球のバッティングフォームの基本③テイクバック
野球のバッティングフォームのテイクバックは、バットスイングを開始するトップを作る重要な動作で、ステップと同時に行います。
テイクバックをしないと、バットのスイングスピードが上がらず、スイング軌道も安定しない打ち方になってしまいます。
では、野球のバッティングフォームのテイクバックには、どのような基本となるポイントがあるのか、具体的に見ていくことにしましょう。
テイクバックでトップの位置を早く作る
身体が早く開くこと、身体が前に突っ込むことを防ぐため、野球のバッティングフォームはトップの位置を作るのが基本で、テイクバックでトップの位置を早く作り、すぐにスイング動作に移行できるようにします。
トップの位置を早く作ると、ボールを長く見ることができるため、タイミングもとりやすくなります。
バットのグリップが肩のライン上になるようにテイクバックする
テイクバック時にバットのグリップが肩より高いと、上体が前に突っ込みダウンスイングになりやすく、逆にバットのグリップが肩より低いと、バットのヘッドが下がりアッパースイングになりやすいため、バットのグリップの位置が肩のライン上になるようにテイクバックするのが基本になります。
少年野球の練習で素振りを繰り返し行い、テイクバック時にバットが上下動しないようなバッティングフォームを身につけるようにしましょう。
背中の方向にテイクバックしない
バットを構えた位置から、そのまま後方へテイクバックするバッティングフォームが野球では基本で、背中の方向にテイクバックする打ち方にならないように注意しなければなりません。
背中の方向にテイクバックすると、前の肩が内側に入ってボールが見にくくなるため、ボールを見ようとして身体が早く開く原因になってしまいます。
また、バットが遠回りするドアスイングにもなりやすくなってしまうため、キャッチャー方向へテイクバックするイメージを持つようにします。
ドアスイングについて詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
テイクバックでしっかりと割れを作る
少年野球をやっている小学生の子供に多いのが、ステップと同時にスイングを開始してしまい、身体が前に突っ込んでしまう打ち方です。
ステップと同時にスイングに移行してしまうバッティングフォームになると、タメが生まれずスイングの速度でタイミングを合わせることになり、力強いスイングができません。
このため、ステップの段階ではバットはトップの位置から動かさず、まだスイングに移行しないようにするのが基本で、この状態を野球では割れを作ると言います。
割れ…を作る…?
テイクバックで腕はキャッチャー方向へ動きトップの位置へ、それと同時にステップで足は逆にピッチャー方向へ踏み出します。
この上半身と下半身が反対方向への動きをしている状態を“割れ”と言うんですね。
上半身と下半身が引っ張り合っている状態のことを言うんですね!
少年野球のバッティングフォームの基本④体重移動
野球のバッティングフォームの体重移動は、軸足に乗せた体重をステップで前へ移動させることで、スイングの軸を作りバットに力を伝え、理想的なスイング軌道にする、という非常に重要な動作になります。
体重移動がスムーズに行えないと、せっかく軸足に乗せた体重をうまく活かすことができず、力強いスイングもできなくなるため、ここでは野球のバッティングフォームの体重移動について、基本となるポイントを具体的に解説していきます。
体重移動時に身体が早く開かないようにする
ステップした後の体重移動時に身体が早く開くと、腰の回転を活かしたスイングができず手打ちになってしまうため、スイングを開始するギリギリまで身体が開かないバッティングフォームにするのが基本になります。
小学生の子供はボールを打とうと意識し過ぎると、身体が早く開くバットの振り方になりやすいため、少年野球の練習でステップした足のつま先が、ピッチャーの方向を向かないように意識して素振りを行うようにします。
軸足に重心を残して体重移動する
軸足に乗せた体重を、ステップした足に全て乗せるように体重移動すると、身体が前に突っ込むバッティングフォームになるため、軸がぶれやすくなってしまいます。
軸がぶれると目線もぶれてしまい、ボールをとらえるのが難しくなるため、軸足に6割近くの体重が残るように体重移動するのが基本です。
ステップする足よりも軸足の股関節を意識するようにすると、軸足に重心を残してスムーズに体重移動ができるようになります。
少年野球の練習で素振りを行う際に、小学生の子供が理解できない場合は、まず軸足に体重を残してスイングするところからスタートしましょう。
少年野球のバッティングフォームの基本⑤スイング
野球で力強いスイングができるバッティングフォームにするには、バットを構えてから、軸足に体重を乗せてステップと同時にテイクバックでトップを作り、体重移動に移行して軸がぶれないように腰を回転させる、というスイングを開始するまでの流れを完璧に行う必要があります。
特にバットスイング時の腕の使い方と、腰の回転を利用する下半身の使い方が重要で、うまく使うことができないと、バランスが崩れてバットに力が伝わらず、理想的なスイングも不可能です。
では、野球のバッティングフォームのスイングに関して、基本となるポイントを具体的に見ていくことにしましょう。
バットはグリップから出して最短距離でスイングする
小学生の子供はボールを打とうとすると、腕の力だけでバットを振るケースが多いため、スイングスピードが上がらず、ドアスイングの原因にもなってしまいます。
野球では、腕の力だけでバットを振るバッティングフォームにならないようにするのが基本で、バットは振るのではなく、腰を回転させることでバットが自然と出てくる、という意識を持つことが重要です。
このため、少年野球の練習で素振りを行う際、バットはグリップから出すようにスイングすると、インサイドアウトという理想的なスイング軌道になります。
インサイドアウト…?
バットが身体の近くを最短距離で通ることです。
加えてバットをグリップから出すと、バットのヘッドが遅れて出るため、バットがしなるような力強いスイングもできるんですね。
なるほど!
インサイドアウトのスイングは大事なんですね!
腰は後ろ側を押すイメージで回転させてスイングする
スイング時に腰の回転を利用するのが基本ですが、バットに力を伝えることができるような回転になっているかが重要です。
少年野球でステップした前の足で身体を回転させると、バットに十分な力が伝わらずに手打ちになってしまうため、以下のようにスイングすることで、腰の回転を活かしたバッティングフォームになります。
➀後ろ側の腰を押すイメージで始動する
②後ろ側の腰が押されて下半身主動で回転する
③上半身が回転する
④最後にバットが出てくる
フォームがレベルスイングになるようにバットを出す
レベルスイングは、上半身の傾きとスイング軌道の角度が90度で、バットに一番力が伝わるため、野球のバッティングでは基本になります。
このため、少年野球の練習で肩のラインと平行になるようにバットを出すことを意識してスイングするようにしましょう。
レベルスイングって地面と平行ではないんですか?
地面ではなく肩のラインと平行なんです。
このため、低めのボールにはバットが下から出るスイングに、高めのボールにはバットが上から出るスイングになるんですね。
レベルスイングって、そういう意味だったんですね!
スイングのインパクト時にボールを押し込む
ボールをとらえたインパクトの瞬間、後ろの手の肘は曲がったフォームになっているのが基本で、後ろの手の肘が伸びてしまうと、力強いスイングができないため重要なポイントです。
後ろの肘を曲げた状態で、ボールをとらえたインパクトの瞬間に後ろの手の肘を伸ばし、ボールを押し込むようにスイングすることで、力強いバッティングが可能になります。
少年野球のバッティングフォームの基本⑥フォロースルー
野球のバッティングの一連の流れで、最後の動作になるのがフォロースルーです。
バットの正しいスイング軌道を作るには前の引き手が重要ですが、フォロースルーは後ろの押し込む手の使い方が重要になります。
ここでは、少年野球でフォロースルーがうまくできるバッティングフォームにするには、どのような基本となるポイントがあるのか、具体的に解説していきます。
フォロースルーは肘を伸ばし前を大きくする
野球のバッティングで飛距離を出すには、フォロースルーを大きくすることが重要です。
このため、インパクト時に後ろの手でボールを押し込み、そのまま肘を伸ばして前が大きな弧を描くようにスイングするのが基本になります。
小学生の子供が肘を曲げた状態でスイングしてしまうのを防ぐには、センター方向へバットを投げ出すイメージでスイングすると、自然と肘が伸びてフォロースルーを大きくさせることができます。
スイング過程で無理に手首を返さない
インパクト時にボールを押し込む後ろの手のひらが、ピッチャーの方向を向くように手首を返すと、フォロースルーを大きくすることができず、スイング軌道が変わる原因にもなってしまいます。
フォロースルーの過程で自然と手首は返るため、インパクトの段階で後ろの手のひらは、ピッチャーの方向ではなく上を向いたままスイングするのが、野球のバッティングでは基本です。
少年野球で手首が返るスイングになってしまう場合は、インパクト後に後ろの手を離して、片手でフォロースルーをとって手首を返さない感覚をつかむようにしましょう。
バッティングフォームの基本の習得は成績アップの近道
野球で基本となる正しいバッティングフォームの一連の流れを解説してきましたが、小学生の子供に教える際に一度に多くのことを伝えないようにすることが重要です。
覚える情報量が多くなると混乱してしまうため、少しずつ教えてマスターしたら新しいことを教える、というように時間をかけてレベルを上げていくのがポイントになります。
根気よく続ける必要がありますが、基本となる正しいバッティングフォームを身につけることができれば、少年野球で試合をした際に結果が出るようになり、本人のモチベーションも上がり苦労が報われるはずです。