野球でバッティングの内容が悪くなる原因は、フォームに問題があったり、効果的な練習やトレーニングができていない可能性があります。
バッティングが上達するための練習メニューを5つの項目に分け、練習方法と効果を詳しく解説していますので参考にしてみてください。
バッティングが向上せず上達しない原因
野球でバッティングに関する練習やトレーニングをしているのに、実際に野球をすると理想的なバッティングができずに結果が出ない、という人は自分のバッティングフォームが良くない可能性があります。
そのようなケースでは、バッティングフォームの一連の流れの中に良くない部分があるのが原因です。
または、バッティングの練習メニューやトレーニング方法が間違っていると、十分な効果を得ることができないため、バッティングが上達しない原因のひとつになります。
ここでは、バッティングを上達させる練習方法を解説していきますので、バッティングフォームに関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
バッティングを上達させる練習とトレーニング方法とは?
自分のバッティングを上達させるには、打撃の良くない部分をしっかりと修正できる練習やトレーニング方法を実践することが必要です。
また、練習やトレーニング方法にどのような効果があるのか把握することも重要で、野球で自分の打撃に足りない部分を補う練習やトレーニングができるようになります。
ただ単純にボールを打つ、という練習方法だけではバッティングは上達しないんですね…。
そうなんです。
このため、練習メニューやトレーニング方法に関して、どのような効果を得ることができるのか、ここでは各項目ごとに具体的に解説していきます。
バッティング上達の練習方法①素振り
バッティングの基本となる素振りの練習
野球でバッティングを上達させるには、自分のバッティングフォームを固め、常に自分の打撃ができるようにしておくことが重要です。
バッティングフォームを固める際、ボールを打つ練習メニューではボールを打つことに意識が向いてしまうため、フォームをしっかりとチェックできる素振りを行うのが、一番効果的な練習方法になります。
実践を意識した素振りの練習
素振りを行う際、何も考えずにただ素振りを繰り返す練習方法では、あまり効果を得ることができません。
実際に野球の試合でバッティングを行うように、ピッチャーの投げるコースや高さを意識し、ボールの軌道に目線を合わせてタイミングをとりながらスイングすることが重要なポイントです。
バッティングフォームを固めることは、バッティング上達の土台作りになるため、素振りの練習は目線を下げずに実践を意識して行うようにしましょう。
スムーズな体重移動を身につける素振りの練習
バッティング時に、スムーズな体重移動が行えないとバットに力が伝わらず、力強いスイングができません。
また、野球をした際にピッチャーとのタイミングを合わせるのも難しくなるため、以下の方法で歩きながら素振りをする練習を行い、スムーズな体重移動でスイングする感覚を身につけます。
➀構えた状態から前の足とクロスするように、軸足を後ろに引きながら踏み出す
②前の足をバッティングでステップするように踏み出す
③バットスイングする
④手順➀から③を繰り返す
この練習方法で、軸足に体重をしっかりと乗せてからスイングするイメージを身体に覚えさせ、ステップと同時にスイングしてしまうのを防ぐことができるようになります。
最初は確実にゆっくり行い、慣れてきたら少しずつ歩くスピードを上げていきましょう。
軸がぶれないスイングを身につける素振りの練習
野球で打撃時に身体の軸がぶれると、腰の回転を利用したスイングができないことに加え、目線もぶれるためボールをとらえるのも難しくなってしまいます。
軸がぶれないように打つ練習メニューでは、バランスボールを使用した素振りが効果的です。
バランスボールにまたがるようにして座り、両足のつま先だけでバランスをとりながら素振りの練習を行うことで、軸がぶれないスイングで打撃を上達させることが可能になります。
また、太ももの内側に力を入れて素振りを行うため、同時に太ももの内側を鍛えるトレーニングにもなる練習方法です。
体幹と骨盤を鍛える素振りの練習
バッティングを上達させるには、体幹と骨盤を鍛えるトレーニングも必要で、体幹を鍛えると身体がぶれずに腰の回転を活かしたスイングになり、骨盤を鍛えると上半身と下半身の動きが安定したフォームになります。
このため、以下のトレーニング方法で体幹と骨盤の両方を鍛える素振りを行います。
➀バットを構えるような体勢で仰向けになり、両足を伸ばして少し浮かせる
②腹筋をするように両足を曲げながら起き上がる
③両足を伸ばしお尻だけで身体を支えた状態で素振りをする
④手順➀から③を繰り返す
このトレーニング方法は、バットが身体に当たらないように、身体の前でヘッドを走らせるように素振りをするため、フォロースルーが大きいバッティングフォームを身につけることもできます。
お尻が痛い場合は、バランスパッドやクッションを敷いて行いましょう。
軸足の筋力とバランス力を鍛える素振りの練習
軸足にタメを作り、スムーズに体重移動に移行することで力強いスイングが生まれるため、ピッチャーの投球にタイミングを崩されないような、軸足の筋力とバランス力を鍛えるトレーニングも、野球でバッティングを上達させる重要なポイントです。
軸足の筋力とバランス力を鍛えるには、軸足だけで立った状態でバットを構え、後方にジャンプして軸足だけで着地した後、ステップして素振りをする練習方法が効果的です。
また、この練習メニューは軸足のみでジャンプして着地するため、軸足にタメを作る感覚を身につけることもできます。
バッティング上達の練習方法②ティーバッティング
バッティングティーでボールを打つティーバッティングの練習
バッティングティーにボールをのせて打つティーバッティングは、バッティングティーの置く位置や高さを変えることで、各コースに対する打撃の感覚をつかむことができる練習メニューです。
野球でバッティングを上達させるには、どのコースに対しても自分の打撃ができるように、スイング軌道とミートポイントを確認しながら練習することが重要になります。
この方法でしっかりとボールを打つことができなければ、動くボールに対して思うような打撃をするのは難しくなるため、確実にボールをミートできるように繰り返し練習しましょう。
前からトスされたボールを打つティーバッティングの練習
一番オーソドックスな、バッターと対角の位置からトスされたボールを打つティーバッティングは、動くボールに対してミートポイントで打つことができるように、打撃の感覚をチェックしたり、修正したりしながら自分のバッティングフォームを固める練習メニューです。
バッティングを上達させるために、以下の3点を意識しながらミートポイントでボールをとらえることができるように行います。
■最短距離でバットを出してスイングすること
■手打ちにならないように腰の回転を活かしてスイングすること
■ボールを手元まで引きつけてスイングすること
身体の軸と腰の回転を意識して打つティーバッティングの練習
バッティングを上達させるには、腰の回転を活かしたスイングをすることも重要なポイントのひとつで、野球で軸がぶれた打撃になってしまうと、体重移動がうまく行えず腰の回転を活かしたスイングができません。
軸がぶれるのを矯正するには、バッターの真横からトスしてもらったボールを打つティーバッティングの練習が効果的で、手打ちになってしまうのも防ぐことができます。
割れを作り腰の回転を利用したスイングをしないとボールをしっかりとミートできないため、自然と身体の軸をぶらさずに体重移動に移行できるバッティングフォームが身につくようになります。
割れ…を作る…?
テイクバックで腕はキャッチャー方向へ動き、それと同時にステップで足は逆にピッチャー方向へ踏み出します。
この上半身と下半身が反対方向への動きをしている状態を“割れ”と言うんですね。
上半身と下半身が引っ張り合っている状態のことを言うんですね!
インサイドアウトを意識して打つティーバッティングの練習
野球でボールを迎えにいってしまう、身体が前に突っ込んでしまうバッティングを矯正する効果的な練習方法は、バッターの後ろからトスしてもらったボールを打つティーバッティングになります。
ボールを引きつけてインサイドアウトのスイングを意識しないと正面に打球が飛ばないため、身体が前に突っ込むのを防ぐことができます。
また、ボールを引きつけてスイングすることで、変化球に対する打撃も上達する練習メニューです。
インサイドアウト…?
バットが身体の近くを最短距離で通ることです。
加えてバットをグリップから出すと、バットのヘッドが遅れて出るため、バットがしなるような力強いスイングもできるんですね。
なるほど!
インサイドアウトのスイングは大事なんですね!
両腕の使い方を意識して打つティーバッティングの練習
片手でバットを持った状態でスイングするティーバッティングは、野球で手首を早く返してしまいフォロースルーを大きくできない、または脇が開いたバッティングになってしまうのを矯正できる練習メニューです。
前の手だけでバットを持ってスイングするティーバッティングの練習は、インパクトから肘を伸ばしてフォロースルーを大きくするスイングの感覚をつかむことができます。
また、後ろの手だけでバットを持ってスイングするティーバッティングの練習は、インパクトの段階で手首を返さず、脇を閉めたスイングをしないと正面に力強い打球が飛ばないため、手首を返さずに脇を閉めてボールを押し込むスイングが身につくようになります。
タイミングのとり方を意識して打つティーバッティングの練習
野球では、ピッチャーは変化球などを駆使してボールに緩急をつけ、バッターにタイミングを合わされないように投球してくるため、バッティングを上達させるには自分のタイミングでスイングすることも重要になります。
自分のタイミングを覚えバッティングフォームを崩されないようにするには、地面に叩きつけるようにボールを投げてもらい、ワンバウンドしたボールを打つティーバッティングを行う練習方法が効果的です。
ワンバウンドしたボールは毎回同じ球筋、速さにならないため、常に自分のタイミングでスイングする練習ができるようになります。
この際、ステップした体勢で止まってボールを待つのではなく、構えからスイングまで一連の流れでボールを打つようにするのがポイントです。
力強い打球を飛ばすことができれば、自分のタイミングで打つことができているということになります。
また、ボール球は打たないようにすることで、選球眼を良くするトレーニングにもなる練習メニューです。
頭の位置を意識して打つティーバッティングの練習
ステップ時に頭が動くバッティングフォームになると目線がぶれるため、ボールを確実にミートするのが難しくなり、同時に軸もぶれるので腰の回転を活かした力強いスイングもできなくなってしまいます。
頭が動いてしまうのを矯正する効果的な練習方法は、椅子に座った状態で打つティーバッティングで、椅子に座り下半身を固定させることで、頭を動かさないでスイングする感覚をつかむことができるようになります。
スイングスピード意識して打つティーバッティングの練習
ピッチャーのボールに力負けしないように、バットのスイングスピードを上げることも、野球でバッティングを上達させるには必要です。
バットのスイングスピードをアップさせる効果的な練習は、速いテンポでトスしてもらったボールを、素早いスイングで繰り返し打つティーバッティングになります。
この練習メニューは、ボールを打った後にすぐにバットを構えスイングする必要がありますが、バッティングフォームが崩れるのを防ぐために、必ずトップの位置にバットを戻してからスイングを行うことが重要なポイントです。
トップって何ですか?
スイングを開始する位置のことです。
なるほど!
ちゃんと構えの体勢を作ってからスイングするってことなんですね!
そうです。
スイングスピードが上がれば、ヒットになる確率も高くなりバッティングが上達するため、タイミング良く繰り返しティーバッティングができるように練習しましょう。
ドアスイングにならないよう意識して打つティーバッティングの練習
野球でバッティング時に身体が開くと腰の回転を活かすことができず、バットも遠回りしてしまうため、ドアスイングになり力強いスイングができません。
身体の開きを防ぎドアスイングを矯正するには、バッターから見て左斜め前、背中の方からトスしてもらったボールを打つティーバッティングの練習方法が効果的です。
練習する際は、後ろの肘を押し出すようにして、少し正面から右方向へボールを打つイメージでスイングすると、身体が開いてしまうのを防ぎやすくなります。
ドアスイングについて詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
バッティング上達の練習方法③ロングティー
バッティングフォームを意識して打つロングティーの練習
トスしてもらったボールを打つのはティーバッティングの練習と同じですが、ロングティーはネットを使用しないのが特徴で、遠くへボールを飛ばすことを意識して打つ練習メニューになります。
ロングティーの練習は、遠くへ飛ばそうと意識し過ぎるとフォームが崩れ、ドアスイングにもなりやすいため、自分のバッティングフォームでしっかりと体重移動を行い、下半身を使ってボールを打つことが重要なポイントです。
自分のバッティングフォームで打てるようになった後に、理想的な打球を遠くへ飛ばす感覚を身につけることでバッティングが上達していきます。
ロングティーはスイングスピードがアップする効果もあるため、自分のバッティングフォームで打てるように繰り返し練習しましょう。
バッティング上達の練習方法④トスバッティング
トスバッティング(ペッパー)の練習
トスバッティングはペッパーとも言いますが、近い距離からボールを軽く投げてもらい、投げた人がワンバウンド、またはノーバウンドで捕球できるように打ち返す練習で、ティーバッティングやロングティーのようにトスされたボールではなく、投げてもらったボールを打つため、より実践に近い状態でミートポイントの感覚をつかむことができます。
ワンバウンドやノーバウンドで打ち返せなかった場合や、バットの芯でボールをとらえることができなかった場合に、自分の感覚とバットのスイング軌道のズレを確認しながら修正できる練習方法です。
なんでペッパーって言うんですか?
何度も打ち返す様子が、コショウを振りかけているように見えることから、ペッパーと呼ばれています。
英語のpepperからきてるんですね!
pepperには「浴びせる」という意味もあるため、トスバッティング以外にも内野の守備練習など、俊敏性を鍛える練習もペッパーと呼んだりします。
そういう意味合いで使うんですね!
バットコントロールを意識して打つトスバッティングの練習
野球でバッティングを上達させるには、さまざまなコースに対してミートできるバットコントロールの技術も必要なため、以下の方法でトスバッティングの練習を行い、バットコントロールの精度を上げていきます。
➀投げ手を2人(AとB)にする
②Aに投げてもらったボールをBに打ち返す
③Bに投げてもらったボールをAに打ち返す
④手順②と③を繰り返す
交互にボールを打ち返すことで、各方向に対してミートポイントで打つ感覚が身につき、バットコントロールの技術が向上するようになります。
バッティング上達の練習方法⑤フリーバッティング
ボールをとらえる感覚を意識して打つフリーバッティングの練習
野球のフリーバッティングは、文字通り自由にバッティングができる練習ですが、バットにボールが当たらずに空振りが多くなってしまうとあまり効率が良くありません。
なかなかバットにボールが当たらない場合は、ピッチャーのマウンドよりも近い距離から遅いボールを投げてもらう方法でフリーバッティングの練習を行うのが効果的で、空振りする回数を減らすようにします。
まずはバットにボールを当てることを意識して、ボールをとらえる感覚を身につけるようにしましょう。
バッティングフォームを意識して打つフリーバッティングの練習
一番実践に近い状況でバッティングができるのがフリーバッティングで、さまざまな練習メニューで身につけた感覚を最終チェックする場所になるため、自分のバッティングフォームを崩さずにスイングしないと、練習メニューで身につけた感覚をチェックできず、問題があっても修正することができません。
このため、自分のタイミングでバッティングフォームを崩さないように打つことを意識してフリーバッティングの練習を行い、ミートポイントでしっかりボールをとらえる確率を上げていくことが重要になります。
実践を意識して打つフリーバッティングの練習
バッティングフォームを崩すことなくスイングができたとしても、何も考えずにただバットを振っていてはあまり効果的ではないため、実際に野球の試合をイメージしながら打つ方法でフリーバッティングの練習を行います。
アウトカウントやランナーがいる状況を想定しながらフリーバッティングを行うのが効果的で、特に右バッターは右方向へ流すバッティングを要求されるケースも多いため、右打ちの練習も必要になります。
また、強いライナー性の打球を安定して打つことができるように、打球の質も意識しながらスイングするようにしましょう。
効果的な練習でバッティングを上達させよう!
野球でバッティングを上達させるには、まず自分のバッティングフォームのどこが良くないのか把握することが重要です。
タイミングのとり方からスイングに移行するまでの体重移動や腰の回転といった身体の使い方などをチェックし、問題点を洗い出すことからスタートさせましょう。
良くない部分を把握できたら、ここまで解説してきた練習メニューを実践し、問題点を矯正することができれば、野球の試合で自然と打率が上がっていくため、バッティングを上達させるための参考にしてみてください。