アンダースローは野球で投球フォームが独特なのが特徴です。
そのアンダースローで投げるスライダー、シンカー、チェンジアップ、カーブ、フォーク、計5種類の変化球のおすすめのボールの握り方と投げ方のコツ、練習方法を解説していますので参考にしてみてください。
投球フォームがアンダースローの変化球の特徴
アンダースローは腰の横回転を利用して下から腕を振る投球フォームなため、ボールが浮き上がってくるような軌道になるのが特徴で、ストレートに限らず変化球でも同様の効果を得ることができます。
また、腕が下から出るためオーバースローやスリークォーターの投げ方よりも、横回転の変化球が投げやすく、変化量が大きくなるのも特徴です。
このため、実際に野球で投手をした際、アンダースローの投球フォームで変化球を投げる場合は、スライダー、シュートといった、横回転の変化をする球種がおすすめになります。
ここでは、アンダースローの変化球の投げ方を解説していきますので、アンダースローの投球フォームに関して詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
アンダースローの変化球のボールの握り方と投げ方
サイドスローのピッチャーと同じ方法で変化球を投げることはできないんですか?
腕が横から出る投げ方で似ている部分もありますが、アンダースローは腕が下から出る投球フォームでリリースポイントが異なるため、サイドスローと同じ変化球の握り方だとうまく変化しないケースも考えられるんです。
そうなんですね…。
このため、アンダースローの投げ方でうまく変化球を投げることができるように、ここでは5種類の変化球に関して、おすすめのボールの握り方と投げ方を、球種ごとに特徴を交えて解説していきます。
アンダースローで投げる変化球➀スライダー
ボールをリリースした利き腕とは逆方向に曲がるのがスライダーの特徴で、横方向に曲がる軌道と、曲がりながら下方向へ落ちる軌道の2種類の変化の仕方があり、落ちずに横方向に大きく曲がるスライダーはスイーパーとも呼ばれています。
ストレートと球速の差があまりないため、バッターがストレートのタイミングで振る確率が高く、ボールを引っ掛けやすい変化球です。
アンダースローの投球フォームの場合、スライダーは横回転の変化球で比較的投げやすく、オーバースローやスリークォーターの投げ方よりも曲がりが大きく使い勝手も良いため、覚えておきたいおすすめの球種になります。
アンダースローのスライダーの握り方
■人差し指と中指を縫い目の幅が狭い部分にかけ、少し内側にずらして握る
■親指は縫い目にかけずに中指の下の位置で支える
人差し指と中指を縫い目にかけてリリースしてもスライダー回転がかかりますが、人差し指の中指側と、中指の薬指側が縫い目にかかるように少し内側にずらすのがコツで、よりスライダー回転がかかり曲がりが大きくなるため、この握り方がおすすめです。
アンダースローのスライダーの投げ方
手のひらを上に向け、ボールの下側を切るようにリリースしますが、実際に野球でアンダースローの投球フォームでスライダーを投げた際、うまくスライダー回転がかからない場合は、手首を少し上方向に立ててリリースすると回転がかかりやすくなります。
ただし、手首を上方向に立て過ぎてしまうと、カーブのような回転がかかりやすくなるため、上方向に立て過ぎないようにしましょう。
アンダースローで投げる変化球②シンカー
ボールをリリースした利き腕の方向に、曲がりながら落ちていくのがシンカーの特徴で、実際の野球で投げる投手は少ないですが、プロ野球やメジャーリーグではサイドスローやアンダースローの投げ方にしている投手のほとんどがマスターしています。
アンダースローの投球フォームで投げるシンカーは落差を大きくすることが可能で、決め球としても十分通用するため、スライダーと同様におすすめの変化球です。
アンダースローのシンカーの握り方
■人差し指と中指を縫い目の幅が狭い部分にかけ、少し外側にずらす
■中指と薬指でボールを挟むようにして握る
■親指は縫い目にかけずに人差し指の下の位置で支える
スライダーの握り方とは逆で、人差し指の親指側と、中指の人差し指側が縫い目にかかるように少し外側にずらすのがコツで、シンカー回転がかかりやすくなり、親指を縫い目にかけないことでボールを抜きやすくした、この握り方がおすすめです。
アンダースローのシンカーの投げ方
手のひらを下に向け、手首の力を使わずに卓球のフォアハンドのように下から上に向かって腕を振り、中指と薬指からボールを抜いてリリースします。
うまくボールを抜くことができない場合は、中指と薬指の間隔を広げて、ボールと手のひらを密着させ、深く持つ握り方にすると抜きやすくなります。
リリース時に腕を捻って中指と薬指の間からボールを抜く投げ方もありますが、腕を捻ることで腕と肘に負担がかかってしまうため、注意するようにしましょう。
アンダースローで投げる変化球③チェンジアップ
ストレートに近い軌道からバッターの手元に近づくにつれて、球速が落ちながら沈んでいくのがチェンジアップの特徴で、ストレートを投げる時と同じ腕の振りでリリースするため、バッターがストレートと勘違いしやすい変化球です。
アンダースローの投球フォームでチェンジアップを投げる場合、ストレートと同じ腕の振りでストレートよりも球速が遅く、ボールの回転が少なくなる投げ方ができるかがポイントになります。
アンダースローのチェンジアップの握り方
■中指を縫い目の幅が狭い部分にかける
■薬指と小指は縫い目にかけずに握る
■親指を縫い目にかけ中指の下の位置になるように支える
■人差し指を浮かせる
薬指と小指は添えている程度でほとんど使わずに、親指と中指の力だけでリリースして回転を少なくする、この握り方がおすすめです。
うまくチェンジアップを投げることができない場合は、ボールと手のひらを密着させ、深く持つ握り方にすると回転が少なくなり、球速も落ちやすくなります。
アンダースローのチェンジアップの投げ方
ボールをチェンジアップの握りにしてストレートを投げるイメージで、ストレートを投げる時と同じ腕の振りでボールをリリースします。
ストレートを投げる時と同じように手首の力を使ってしまうと球速を遅くすることができない場合は、手首の力を使わずにボールを押し出すようにリリースするとボールを抜きやすくなるため、球速が遅くなり回転を少なくすることもできるようになります。
遅いボールを投げようと意識し過ぎると、腕の振りも遅くなってしまうため、気をつけるようにしましょう。
アンダースローで投げる変化球④カーブ
ボールをリリースした利き腕とは逆の方向へ、山なりの軌道で曲がりながら落ちていくのがカーブの特徴で、球速が遅い部類に入るため、バッターのタイミングをはずしたり、カウントをとる目的で使用するケースが多い変化球です。
カーブを投げた後にストレートを投げるとバッターが速く感じるため、野球で球速が出にくいアンダースローの投球フォームで投げるピッチャーは、マスターしておきたいおすすめの球種ですが、投げにくい縦回転をかけ、さらにシンカーのようにボールを抜く投げ方ができるかが重要になります。
アンダースローのカーフの握り方
■人差し指と中指を縫い目の幅が狭い部分にかける
■親指は縫い目にかけずに下の位置で支える
人差し指と中指を縫い目にかけることでカーブ回転がかかりやすく、親指は縫い目にかけないことでボールを抜きやすくした、この握り方がおすすめになります。
アンダースローのカーブの投げ方
手のひらを上に向け、手首を上方向に立てた状態で手首の力は使わずに、人差し指と中指でボールを滑らすように抜いてリリースします。
うまくカーブを投げることができない場合は、ボールと手のひらに隙間ができるように浅く持ち、リリース時にボールを強く握りすぎないようにすることで、カーブ回転がかかりやすく、ボールも抜きやすくなります。
アンダースローで投げる変化球⑤フォーク
ストレートと同じ軌道でバッターの手前までくると、減速して落ちるのがフォークの特徴で、決め球として多くのピッチャーが使用している変化球です。
特に握力が必要な球種で、握力がないピッチャーがフォークを投げると、ボールが落ちずに棒球になってしまい、腕の力も重要なため多投すると疲労度も大きくなります。
実際に野球でアンダースローの投球フォームでフォークを投げる場合、シュート回転しない投げ方ができるかがポイントになるため、難易度が高い球種です。
アンダースローのフォークの握り方
■人差し指は縫い目にかけずに中指を縫い目に沿ってかけボールを挟むようにして握る
■親指を縫い目にかけ人差し指の下の位置になるように支える
人差し指を縫い目にかけないことでボールを抜きやすくし、中指を縫い目にかけることでシュート回転するリスクを軽減させ、親指を縫い目にかけることでボールに力を伝えやすくした、この握り方がおすすめです。
アンダースローのフォークの投げ方
ストレートを投げる時と同じ腕の振りで、中指に力を入れて人差し指と中指からボールを抜いてリリースします。
実際に野球でアンダースローの投球フォームでフォークを投げた際、うまくボールを抜くことができない場合は、手首の力を使わずに腕の遠心力だけでリリースすると抜きやすくなります。
アンダースローの変化球の練習方法
アンダースローは全身を使って投げる投球フォームなため、実際に野球で変化球を投げることに意識を向けてしまうと、バランスを崩してコントロールが定まらない、あるいは思った通りに変化しない、という人もいるかもしれません。
このため、ここではアンダースローの投球フォームで安定して変化球を投げるには、どのような練習方法を実践すればいいのか、具体的に見ていくことにしましょう。
腕を下げながら変化球の投げ方を覚える
アンダースローの投球フォームにすると変化球を投げることができない、という人は、変化球を投げることができる腕の位置から、少しずつ腕を下げながら変化球を投げる練習がおすすめです。
例えば、スリークォーターの投球フォームで変化球を投げることができる場合は、そこから少し腕を下げて変化球を投げるコツをつかんだ後、そこからまた少し腕を下げて変化球を投げる、という方法で徐々にアンダースローの投球フォームに近づけていきます。
キャッチボールで回転とリリースポイントをチェックする
野球でキャッチボールを行うのはウォーミングアップの意味合いが強いですが、アンダースローの投球フォームで変化球をチェックする練習方法として活用することができます。
どのような腕の振りをすれば変化球の回転がかかるのか、逆に回転を減らすことができるのか、というように常にボールの回転を意識しながら投げるのがコツになります。
また、どこでボールをリリースすれば意図したコースに変化球を投げることができるのか、というリリースポイントのチェックも可能です。
投球動作とボールのリリースをゆっくり行う
アンダースローでバランスを崩さずに変化球を投げるには、ピッチング練習時に足を上げて体重移動に移行しながらテイクバックした後、ステップしてボールをリリースする、という一連の投球動作をゆっくり行い、変化球を遅い球速で投げる、という方法を繰り返し行うことで投球フォームが安定するようになります。
また、投球動作だけではなく、変化球もゆっくり投げることで、回転をかけるタイミングをつかむのにも役立つ練習方法です。
アンダースローで効果的な変化球の投げ方のコツ
ボールが浮き上がるような軌道になる、独特なアンダースローの投球フォームに、さらに練習を繰り返し行い変化球を身につけ加えることができれば、バッターは対応するのに苦戦を強いられます。
このため、ここでは変化球がより効果的になるように、野球でアンダースローで変化球を活かすことのできる、おすすめの投げ方とコツを具体的に解説していきます。
ストレートと変化球を同じ投げ方でリリースする
アンダースローに限らず、野球でピッチャーをした際にストレートと変化球、どちらも同じ投げ方でボールをリリースすることが重要なポイントです。
特にカーブやシンカーといった、ボールを抜く変化球を投げる際、抜くことを意識し過ぎると腕の振りが鈍くなってしまうため、注意しなければなりません。
このため、投球練習を行う際にストレートと変化球を交互に投げ、投球フォームが変わっていないかチェックするのがコツで、交互に投げることで違いに気づきやすくなる、おすすめの方法です。
リリース直前まで身体が開かないようにする
身体が早く開いた状態でボールをリリースすると、腰の横回転を活かした腕の振りができず、変化球のキレが悪くなってしまい、ボールのリリースも早くなりやすく失投のリスクが高まるため、ボールをリリースする直前まで身体が開かないようにすることも重要になります。
実際に野球をした際、右投げのピッチャーがアンダースローの投球フォームで投げる場合は、ボールをリリースするギリギリまで上半身を三塁方向に向けたままにするのがコツです。
ステップする足の位置を意識してリリースする
投球動作の過程で身体に力が入ると、ステップする足が早く動き出してしまい、右投げのピッチャーの場合は三塁方向に踏み出すインステップになりやすいため、ステップする足が常にホームに向くように意識してリリースするのもコツになります。
ステップした足の位置がバラバラになってしまうと、リリースポイントを固定できずコントロールが安定しないため、野球でピッチング練習をする際に、足を上げて静止した後に体重移動に移行する、または足を上げてそのまま真下に下ろした後に体重移動に移行する、という動作を繰り返し行う方法で、ステップする足を矯正するのがおすすめです。
投球動作に緩急をつけてリリースする
野球をした際に、例えば通常の投球フォームでストレートを投げた後、クイックモーションのような投球フォームで遅い変化球を投げると、バッターはクイックモーションの動作に合わせて始動するため、遅い変化球に対してタイミングをずらすことができる確率が高くなります。
このように、アンダースローのゆっくりした投球フォームの特徴を活かして、投球動作に緩急をつけてリリースするのもコツです。
ただし、クイックモーションはバランスを崩しやすいため、しっかり練習を行い身につけておく必要があります。
変化球に磨きをかければバッターの苦戦は必至
アンダースローの投球フォームで投げる、5種類の変化球のおすすめのボールの握り方と投げ方のコツ、そして練習方法を解説してきましたが、全ての変化球を無理やり覚える必要はありません。
まずはひとつの球種に絞って磨きをかけ、しっかりと投げることができるようになった後、新たに球種を増やしていくようにしましょう。
変化球の精度が高ければ、すでにアンダースローという大きな武器を持っているためバッターの苦戦は必至で、持ち球が少なくても十分に通用するばずです。